ガス代が急に高くなる原因でいちばん多いのは、冬になって使用量が増えることです。東京都の調査では、ガスを使う家の冬の使用量は夏の約3倍でした。一方、同じ量を使ったときのガス代は、当サイトの集計で10年のあいだに最大でも約1.66倍の動きでした。この記事では、原因を「使用量」と「単価」に分けて確かめる方法と、2026年11月検針分の値上がりの内訳、金額別の目安をまとめます。
| 分かれ目 | 主な原因 | 明細のどこで分かる? |
|---|---|---|
| 使用量(m3)が増えた | 冬で水が冷たい・ガス暖房・在宅や来客が増えた・給湯の設定温度 | 使用量(m3)を前の年の同じ月と比べる |
| 検針の日数が長かった | 検針日が前後して、使った日数が多い月 | 使用期間(日数)の欄 |
| 単価が上がった | 原料費調整・国の補助の終了・料金の改定・プロパンの値上げ | 1m3あたりの単価・基本料金・値引きの行 |
| それ以外 | 前の月の検針が推定だった分の調整・ガス漏れなど | 「推定」「調整」の表示・メーターの数字 |
ガス代は「使用量(m3)×1m3あたりの単価+基本料金」で決まります。請求が高いと感じたら、まず検針票やWebの明細で使用量を見て、前の年の同じ月と比べましょう。使用量が増えていれば使い方や季節の問題、使用量が同じなのに金額が上がっていれば単価の問題です。
使用量が増える原因は、冬の給湯とガス暖房がほとんどです。検針の間隔が月によってずれることもあり、使った日数が30日から34日になれば、同じ使い方でも使用量は1割以上増えます。
| 世帯人数 | 夏(7〜9月) | 冬(1〜3月) | 使用量の差 | ガス代の差 |
|---|---|---|---|---|
| 1人 | 9m3・2,627円 | 30m3・6,488円 | 約3.3倍 | 約2.5倍 |
| 2人 | 18m3・4,345円 | 56m3・11,067円 | 約3.1倍 | 約2.5倍 |
| 4人 | 30m3・6,488円 | 77m3・14,764円 | 約2.6倍 | 約2.3倍 |
東京都の調査によると、ガスを使う2人暮らしの家の使用量は、夏が月18m3、冬が月56m3で、冬は夏の約3.1倍でした。2026年11月検針分の東京ガスの単価で計算すると、夏は月4,345円、冬は月11,067円です。夏から冬にかけて「ガス代が倍になった」のは、多くの家で起きているふつうのことです。
冬は水道の水が冷たいので、同じ温度のお湯をつくるのに多くのガスが要ります。湯船につかる回数が増え、ガスファンヒーターや床暖房を使う家ではさらに増えます。家計調査の平均でも、4人家族のガス代は9月の支払いが月3,138円、3月の支払いが月7,328円で、約2.3倍でした(2021〜2025年の5年平均)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 2026年10月検針分 | 5,744円 |
| 2026年11月検針分 | 6,488円(+744円) |
| うち 国の補助金の終了 | +420円 |
| うち 原料費調整(原料価格の変動) | +174円 |
| うち 料金の改定(基本料金の見直し) | +150円 |
東京ガスによると、標準家庭(月30m3)のガス代は、2026年10月検針分の5,744円から11月検針分の6,488円へ、744円上がりました。いちばん大きいのは国の補助金の終了(+420円)です。2026年は7〜9月使用分に、都市ガス1m3あたり14〜18円の値引きがありました(経済産業省)。
東京ガスは2026年10月1日から、物価上昇やガス販売量の減少を理由に、基本料金を月150円上げています。残りの174円は、原料のLNG(液化天然ガス)などの輸入価格を料金に反映する「原料費調整」の分です。秋から冬にかけては、こうした単価の変化と使用量の増加が重なるので、請求額の変化が大きく見えます。
都市ガスの単価は、原料費調整制度で毎月変わります。東京ガスでは、貿易統計による3か月間のLNG・LPGの平均輸入価格を、その最終月の3か月後の検針分に反映します。たとえば2026年11月検針分は、2026年6〜8月の原料価格で決まりました。為替や原油価格の動きは、数か月遅れてガス代に表れます。
当サイトの光熱費ウォッチで、東京都区部の同じ量を使ったときの都市ガス代を2015年から並べました。いちばん安かったのは2016年10月の4,480円、いちばん高かったのは2023年1月の7,434円で、その差は約1.66倍です。年平均では2016年の4,797円から2022年の6,192円へ約1.29倍になりましたが、2026年8月は5,792円でした。
つまり、単価の変化だけでガス代が1か月で倍になることは、この10年ほどの東京では起きていません。「倍になった」ときは、まず使用量を疑うのが近道です。一方、プロパンガス(10m3)は2020年1月の6,803円から2026年8月の8,650円へ、約27%上がっていました。消費者物価指数でも、2026年8月のプロパンガスは1年前より6.9%高く、都市ガス代は0.8%安くなっています。
| 1か月のガス代 | 都市ガス(東京ガス) | プロパン(全国平均) | プロパンの熱を都市ガスに直すと |
|---|---|---|---|
| 5,000円 | 約22m3 | 約5m3 | 約11m3 |
| 1万円 | 約50m3 | 約10m3 | 約23m3 |
| 1.5万円 | 約78m3 | 約17m3 | 約39m3 |
| 2万円 | 約107m3 | 約24m3 | 約55m3 |
都市ガスの家で4人家族の冬に1.5万円なら、使用量は約78m3です。東京都の調査の4人家族の冬(77m3・14,764円)とほぼ同じで、冬ならおかしな金額ではありません。夏や秋に1.5万円なら、夏の平均(30m3)の2倍以上なので、使用量を確かめましょう。
都市ガスで月2万円は約107m3で、4人家族の冬の平均の約1.4倍です。ガス床暖房を長く使う家でなければ多めです。一方、プロパンガスなら2万円は約24m3で、都市ガスにすると約55m3分の熱です。プロパンの2人暮らしや4人家族の冬なら、ありうる金額です。プロパンでは同じ使い方でも都市ガスの約1.9倍になるので、まず1m3あたりの単価を確かめるのが先です。地域別の平均の料金はプロパンガスは都市ガスの何倍?で比べられます。
使っていないのに使用量が増えている、検針票とメーターの数字が合わないといったときは、自分で判断せずに契約しているガス会社に問い合わせましょう。ガスのにおいがするときは、ガス機器を使うのをやめて窓を開け、ガス会社のガス漏れの連絡先に電話するよう、ガス会社が案内しています。換気扇や電気のスイッチには触らないようにしましょう。
プロパンガスは、料金を販売店が自由に決めます。経済産業省の制度改正で、2025年4月2日からは、基本料金・従量料金・設備料金を分けて示す「三部料金制」が求められ、新しい契約ではエアコンなどガスと関係のない設備の費用をガス料金に入れることが禁止されました。料金表がもらえない、単価の値上げの説明がないときは、販売店に料金表を求めましょう。
A. 単価の変化だけで1か月で倍になることは、まずありません。東京都区部の同じ使用量のガス代は、2015〜2026年で最大でも約1.66倍の動きでした。倍になったときは、明細の使用量(m3)を確かめましょう。
A. 都市ガスなら約78m3で、東京都の調査の4人家族の冬(77m3)とほぼ同じです。冬なら珍しくない金額で、夏なら多めです。プロパンガスなら約17m3分で、プロパンの4人家族なら冬以外でもありうる金額です。
A. 主に、冬の使用量の増加、原料のLNGなどの輸入価格(原料費調整)、国の補助の終了、ガス会社の料金改定です。2026年11月検針分の東京ガスの標準家庭は、補助の終了で420円、原料費で174円、料金改定で150円、合わせて744円上がりました。
A. 家計調査の2025年平均で、2人暮らしは月4,663円、4人家族は月5,112円です。世帯人数別・月別の平均はガス代の平均、一人暮らしは一人暮らしのガス代の平均にまとめています。
使い方で下げる方法はガス代の節約、8都市の都市ガス代・プロパンガスの毎月の動きは光熱費ウォッチ、ガス暖房の費用はガスファンヒーターのガス代で確かめられます。
この記事の情報は2026年10月19日時点のものです。主な出典: 東京ガス「原料費調整制度に基づく2026年11月検針分のガス料金について(東京地区等)」(2026年9月29日)・「(東京地区等)ガス料金の改定について」(2026年4月27日)・「原料費調整制度とは?」・「都市ガスの使用量・料金の平均はいくら?」(東京都環境局「平成26年度 東京都家庭のエネルギー消費動向実態調査」を引用)、総務省統計局「小売物価統計調査」「消費者物価指数」「家計調査」、石油情報センター「LPガス一般小売価格」(2026年9月30日調査)、経済産業省「電気・ガス料金支援」、液化石油ガス法施行規則の改正(2024年4月公布)。ガス料金の先行きを予想したり、特定のガス会社やプランをすすめたりするものではありません。ガスのにおいなど安全にかかわることは、契約しているガス会社に相談してください。