台風で飛行機が欠航するかどうかに一律の基準や確率はありませんが、国土交通省の統計では、台風の季節(7〜9月)の国内線の欠航率は2024年が2.36%、2025年が1.19%でした。ふだんはほとんどの便が飛び、台風が空港に近づく日だけ、多くの便がまとめて欠航します。この記事では、国の欠航の統計と気象庁の台風の記録を当サイトで集計し、欠航の決まり方、払い戻し、ホテル代やキャンセル料の扱いを、航空会社の公式の案内をもとにまとめます。
| 2024年7〜9月 | 2025年7〜9月 | |
|---|---|---|
| 欠航率(すべての原因) | 2.36% | 1.19% |
| 欠航便のうち天候が原因 | 3,458便(74%) | 917便(40%) |
| 天候による欠航率(推計) | 約1.8% | 約0.5% |
国土交通省が公表している国内線の大手10社の欠航率は、7〜9月で2024年が2.36%、2025年が1.19%でした。100便のうち1〜2便が欠航した計算です。このうち天候が原因の欠航は、2024年が74%、2025年が40%で、天候による欠航だけに絞ると、2024年は約1.8%、2025年は約0.5%になります。
ただし、これは7〜9月のすべての便をならした数字です。台風が近づいた日に限ると、羽田-那覇のように1日の全便が欠航することもあります。「台風の季節に飛行機に乗る」こと自体の欠航の確率は低く、「台風が空港に近づく日に乗る」と欠航の確率が一気に上がる、と考えるのが実態に近いでしょう。
国土交通省の欠航便の原因別の記録を月ごとに並べると、天候による欠航が最も多かったのは2024年8月の2,877便で、2024年度(2024年4月〜2025年3月)の天候による欠航5,972便のほぼ半分がこの1か月に集中しました。2024年8月は、台風第10号などが日本に近づき、多くの便が欠航した月です。
一方、2025年の7〜9月は月に190〜470便で、2025年12月(820便)や2026年1月(963便)の雪の季節のほうが多くなっています。天候による欠航は台風の季節だけでなく冬の雪でも増え、台風の年ごとの当たり外れで大きく変わります。
| 空港 | 1年あたりの日数 | 8〜9月のある1日が当たる割合 |
|---|---|---|
| 新千歳(札幌) | 0.9日 | 1.2% |
| 仙台 | 2.1日 | 2.2% |
| 羽田(東京) | 3.1日 | 2.7% |
| 中部(名古屋) | 3.3日 | 3.1% |
| 関西・伊丹(大阪) | 3.3日 | 3.3% |
| 福岡 | 3.6日 | 4.1% |
| 鹿児島 | 4.6日 | 4.8% |
| 那覇 | 7.2日 | 6.8% |
| 石垣 | 8.3日 | 8.2% |
気象庁の台風の位置の記録(ベストトラック)35年分を使い、主な空港から300km以内に台風の中心があった日を数えました。羽田は1年に3.1日、那覇は7.2日、石垣は8.3日で、南の空港ほど台風が近くにいる日が多くなります。8〜9月のある1日を選んだとき、その日に台風が近くにいる割合は羽田で2.7%、那覇で6.8%でした。
台風が300km以内にいても欠航するとは限りませんが、欠航の可能性が高まる日の目安になります。沖縄の月ごとの詳しい数は沖縄の台風はいつが多い?の記事で、3泊4日の旅行に当てはめて計算しています。
| 決めるもの | 内容 |
|---|---|
| 滑走路の横風 | 離着陸を制限する横風の強さが機種ごとに決まっている(航空機メーカーが決めた値) |
| 機長の判断 | 運航を支える担当者の助言を受けて、着陸できるかを最終的に機長が判断する |
| 到着地・出発地の両方の天気 | 出発地が晴れていても、到着地が台風の暴風なら欠航や引き返しがある |
| 強風域・暴風域 | 強風域は風速15m/s以上、暴風域は25m/s以上の風が吹くおそれがある範囲(気象庁)。強風域に入っただけで欠航とは決まらない |
台風で飛行機が欠航する基準は、「風速何メートル以上なら欠航」という一律の数字では公表されていません。大きく影響するのは滑走路に対して横から吹く風(横風)で、離着陸を制限する横風の強さは航空機メーカーが機種ごとに決めています。そのうえで、着陸できるかどうかを最終的に機長が判断します。
気象庁の台風情報に出てくる「強風域」は風速15m/s以上、「暴風域」は25m/s以上の風が吹いている、または吹くおそれがある範囲です。空港が強風域に入っても、風向きが滑走路の向きに近ければ飛ぶことがあり、遅れて飛ぶ便もあります。反対に、雨で滑走路がぬれているときは、同じ風でもより慎重な判断になります。
| いつ | 起きること |
|---|---|
| 数日前 | 航空会社が運航状況のページで「運航の見通し」や影響が出そうな空港を知らせる |
| 2日前の夕方 | ANAは「運航に影響が予測される空港」を運航日の2日前18時ごろに決める。この空港を発着する便は手数料なしで変更・払い戻しができる |
| 前日〜2日前 | 欠航する便がまとめて発表される(2026年5月30日夜に、台風第6号で6月1日の便を中心に欠航を発表) |
| 当日 | 天候しだいで、追加の欠航や「条件付き運航」(引き返しや別の空港に降りることがある)が決まる |
台風の欠航は、台風の進路がある程度見えてきた2日前〜前日に、まとめて発表されることが多くなっています。2026年5月の台風第6号では、航空各社が5月30日の夜に、6月1日の沖縄発着の便を中心とした欠航を発表しました。ANAは、悪天候で運航に影響が出そうな空港を運航日の2日前18時ごろに決め、運航状況のページで知らせています。
日テレNEWS「【台風6号接近】JALとANA「羽田-那覇」1日全便欠航」(2026年5月公開)。台風第6号の接近で、6月1日の羽田-那覇の便がすべて欠航になったことを伝えるニュースです
ただし、発表は「見通し」で、その後の台風の動きで欠航が増えたり、当日になって決まったりすることもあります。台風の進路が近い日は、前日の夜と当日の朝の2回、予約した航空会社の運航状況を確かめるのが安心です。
| 項目 | 扱い |
|---|---|
| 払い戻し・便の変更 | 欠航した便や、影響が見込まれる対象の便は、手数料なしで払い戻しや便の変更ができる |
| 足止めのホテル代・交通費 | 悪天候や天災による欠航では、原則として利用者の負担 |
| 対象になる前に自分で取り消した場合 | 通常の取消手数料がかかる。あとで欠航が決まっても返ってこないことがある |
| 機材の故障など航空会社の都合の欠航 | 当日の欠航なら、決められた上限の範囲で宿泊費・交通費を航空会社が払う場合がある |
JAL・ANAの国内線では、台風で欠航した便や、悪天候で影響が見込まれる対象の便は、手数料なしで払い戻しや別の便への変更ができます。ANAは発着案内の便名の「NCF」や「!」のマークで、JALは便名の横の「*」や「!」の表示で、対象の便かどうかを確かめられます。
一方、台風による欠航で帰れなくなったときのホテル代や交通費は、JAL・ANAとも利用者の負担としています。航空会社が宿泊費などを払うのは、機材の故障など航空会社の都合で当日に欠航した場合です。また、ANAのツアー(航空券+宿泊)の案内では、対象の便に指定される前に自分の判断で取り消すと通常どおり取消料がかかり、そのあと欠航が決まっても返金されないとしています。LCCを含め、細かい条件は航空会社ごとに違うので、予約した会社の案内を確認してください。
| 予約の種類 | キャンセル料の扱い |
|---|---|
| ホテル・旅館だけを予約 | 宿や予約サイトの規約しだい。台風で飛行機が欠航したときに無料にする宿もあるが、決まりではない |
| パッケージツアー(募集型企画旅行) | 天災などで旅行の安全な実施ができない、またはそのおそれが極めて大きいときは、出発前なら取消料なしで解除できる(標準旅行業約款) |
| 航空券+宿泊のセット | 航空会社のツアーなら、対象の便に指定されれば取消料なしで取り消せる例がある |
| 旅行保険・キャンセル保険 | 台風による欠航や取り消しの費用を補償する商品もあるが、対象と条件は商品ごとに違う |
ホテルや旅館だけを予約した場合、キャンセル料は原則としてその宿や予約サイトの規約に従います。千葉市消費生活センターは、台風や地震などの災害のときは事業者が特別な対応をしていることもあるので、まずは問い合わせるよう呼びかけています。飛行機が欠航したら自動で宿の予約が取り消されるわけではないので、宿には自分で連絡が必要です。
旅行会社のパッケージツアーでは、標準旅行業約款で、天災などで旅行の安全かつ円滑な実施が不可能になる、またはそのおそれが極めて大きいときは、旅行者は出発前に取消料なしで契約を解除できると定められています。ただし「なんとなく心配」という段階では当てはまらないことがあり、同センターにも、台風を理由に取り消したらキャンセル料を請求されたという相談が寄せられています。
| 順番 | すること |
|---|---|
| 1 | 気象庁の台風情報で、出発日・帰る日に台風がどこにいそうかを見る |
| 2 | 航空会社の運航状況で、自分の便が「対象の便」になっているかを確かめる(なっていなければ、すぐには取り消さない) |
| 3 | 対象になったら、手数料なしで日にちを変えるか払い戻すかを決める |
| 4 | ホテル・レンタカー・ツアーに連絡し、キャンセル料や日程の変更を確かめる |
| 5 | 帰りの便が止まりそうなら、延泊の宿と翌日以降の予定の調整を先に考える。領収書は保険の請求に備えてとっておく |
台風と旅行が重なりそうなとき、いちばん損をしやすいのは、航空会社が対象の便を決める前に自分で取り消してしまうことです。まずは運航状況のページで対象の便になるのを確かめ、それから払い戻しや日程の変更を選ぶ順番にすると、手数料をかけずに済むことが多くなります。帰りの便が止まると延泊のホテル代は自分で払うことになるので、8〜9月の旅行では、帰る日の翌日に余裕を持たせておくと安心です。
A. JAL・ANAの国内線では、台風で欠航した便や、影響が見込まれる対象の便は手数料なしで払い戻しや便の変更ができます。対象になる前に自分で取り消すと、通常の取消手数料がかかります。
A. 悪天候による欠航では、原則として出ません。JAL・ANAとも、悪天候や天災による欠航で生じた宿泊費・交通費は利用者の負担としています。旅行保険で補償される場合があるので、加入している保険の条件を確かめてください。
A. 7〜9月の国内線の欠航率は1〜2%で、ほとんどの便は飛んでいます。台風が実際に空港へ近づく日に当たるかどうかで大きく変わるので、時期で避けるより、出発の数日前から台風情報と運航状況を確かめるほうが現実的です。
A. 日本への接近は8月・9月が最も多く、上陸は9月が最多です。月ごとの数は台風が多い月の記事にまとめています。
その年の台風の数は台風ウォッチで毎日更新しています。台風の上陸の多い地域は台風の上陸とは?の記事でまとめています。
この記事の情報は2026年10月14日時点のものです。主な出典: 国土交通省「航空輸送サービスに係る情報公開」、気象庁「ベストトラックデータ」「台風の大きさと強さ」、日本航空・全日本空輸の公式案内、標準旅行業約款、千葉市消費生活センター、Aviation Wire。払い戻しやキャンセル料の条件は航空会社・宿・旅行会社・保険ごとに異なり、変わることがあります。予約先の最新の案内を必ずご確認ください。台風の進路や欠航を予想するものではありません。