台風の「上陸」とは、気象庁の定義で台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸線に達することです。沖縄の島々や小さな島を通っても上陸には数えません。この記事では、気象庁の台風の統計(1951年〜)をもとに、上陸が多い県・上陸したことがない県、当サイトで集計した13地方ごとの接近数、北海道に台風が来にくい理由をまとめます。最新の台風の数は当サイトの台風ウォッチで毎日更新しています。
| 言葉 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 上陸 | 台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸線に達した | 2019年台風第15号が千葉市付近に上陸 |
| 通過 | 中心が小さい島や小さい半島を横切って、短い時間で再び海に出た | 沖縄本島や伊豆諸島を横切った場合 |
| 接近 | 中心が国内のどこかの気象官署などから300km以内に入った | 上陸しなくても、近くの海を通れば接近 |
気象庁は、台風の中心が北海道・本州・四国・九州の4つの大きな島の海岸線に達した場合を「日本に上陸した台風」としています。小さい島や小さい半島を横切って短い時間で再び海に出る場合は「通過」で、上陸には数えません。
そのため、台風の中心が沖縄本島の真上を通っても「上陸」とは言わず、沖縄県への上陸は統計上いつも0回です。一方の「接近」は、台風の中心が国内のどこかの気象官署などから300km以内に入ることで、平年値(1991〜2020年の平均)では1年に上陸が3.0個、接近が11.7個です。
| 順位 | 都道府県 | 上陸数 |
|---|---|---|
| 1 | 鹿児島県 | 45回 |
| 2 | 高知県・和歌山県 | 26回 |
| 4 | 静岡県 | 22回 |
| 5 | 長崎県 | 18回 |
| 6 | 宮崎県 | 14回 |
| 7 | 愛知県 | 12回 |
| 8 | 千葉県 | 10回 |
| 9 | 熊本県 | 8回 |
| 10 | 北海道・徳島県 | 7回 |
気象庁の統計(1951年〜2026年第8号まで)で台風の上陸が最も多い都道府県は鹿児島県の45回で、2位の高知県・和歌山県(26回)を大きく引き離しています。九州4県(鹿児島・長崎・宮崎・熊本)を合わせると85回で、上位11都道府県の合計195回の4割以上になります。
上位に並ぶのは、九州と、四国・紀伊半島・東海の太平洋に面した県です。日本の南の海で北上してきた台風は、太平洋高気圧のまわりを回って西日本から日本列島に向かうことが多いため、南に突き出した九州南部や四国、紀伊半島に最初にぶつかりやすいと考えられます。
| 都道府県 | 理由・記録 |
|---|---|
| 沖縄県 | 上陸の定義(4つの大きな島の海岸線)に入らないため、統計上は0回 |
| 栃木県・群馬県・埼玉県・山梨県・長野県・岐阜県・滋賀県・奈良県 | 海に面していない8県。上陸は「海岸線に達した場所」で数えるため、上陸の地点にはならない |
| 茨城県 | 2026年8月11日の台風第15号が、1951年の統計開始以来初めての上陸 |
| 福岡県 | 2021年9月17日の台風第14号が、1951年以来初めての上陸 |
| 岩手県 | 2016年8月30日の台風第10号が、東北地方の太平洋側に初めて上陸 |
台風が上陸したことがない県として確実に言えるのは、定義の上で上陸に数えない沖縄県と、海に面していない8つの県です。海のない県にも台風の中心は来ますが、上陸は「中心が最初に海岸線に達した場所」で数えるため、上陸の地点にはなりません。
気象庁は、上陸数が多い上位10位までの都道府県を公表していますが、全都道府県の上陸数の一覧は公表していません。上陸がまれな県では、2016年以降も「初めての上陸」が起きています。2026年8月11日には、台風第15号が茨城県南部に上陸し、茨城県への上陸は1951年の統計開始以来初めてでした。
日テレNEWS「【速報】台風15号が茨城県南部に上陸…統計開始以降で初 気象庁」(2026年8月公開)。2026年8月11日に台風第15号が茨城県南部に上陸したことを伝えるニュースです
東北地方の太平洋側では、2016年8月30日に台風第10号が岩手県大船渡市付近に上陸したのが、1951年の統計開始以来初めてでした。上陸数の上位10都道府県には、日本海側の県や東北地方の県は1つも入っていません。
上陸の数だけでは、自分の住む地方にどのくらい台風が来るかは分かりません。そこで、気象庁が公表している13地方ごとの台風の接近数(中心がその地方の気象官署などから300km以内に入った数)を当サイトで集計しました。平年値で最も多いのは沖縄地方の7.7個、最も少ないのは北海道地方の1.9個です。本州・四国・九州の地方は、ほとんどが年3〜4個の範囲に入ります。
北海道地方は、1951〜2025年の75年のうち13年は接近が0個でした。九州南部は75年間、接近が0個の年が一度もありません。
| 年代 | 九州北部・山口 | 九州南部 | 関東甲信 | 北海道 |
|---|---|---|---|---|
| 1950年代 | 3.6個 | 4.0個 | 3.3個 | 1.9個 |
| 1960年代 | 3.6個 | 4.0個 | 3.8個 | 1.3個 |
| 1970年代 | 3.4個 | 4.1個 | 2.2個 | 1.3個 |
| 1980年代 | 2.4個 | 2.8個 | 2.7個 | 1.1個 |
| 1990年代 | 4.1個 | 4.2個 | 3.3個 | 2.2個 |
| 2000年代 | 3.1個 | 3.1個 | 3.3個 | 1.9個 |
| 2010年代 | 4.3個 | 4.4個 | 3.6個 | 1.8個 |
| 2020年代 | 2.7個 | 2.8個 | 3.2個 | 1.0個 |
九州への台風の接近は、2020年代(2020〜2025年)の平均が九州北部2.7個・九州南部2.8個で、2010年代(4.3個・4.4個)より少なくなっています。「九州に台風が来なくなった」と感じる人がいるのは、この数字の差と合っています。
ただし、1980年代にも九州北部2.4個・九州南部2.8個と、2020年代と同じくらい少ない10年がありました。75年分で見ると、九州への接近は10年単位で増えたり減ったりをくり返していて、一方的に減り続けているわけではありません。
| 日本の南の海 | 本州付近 | 北海道付近 |
|---|---|---|
| 海面の水温が高く、水蒸気をたっぷり受け取って発達する | 上空の偏西風に乗って、北東へ速く進むようになる | 海面の水温が低く、水蒸気の補給が減る。北の寒気が入り「温帯低気圧」に変わりやすい |
気象庁の解説によると、台風は暖かい海から供給される水蒸気をエネルギー源にして発達します。日本付近まで北上すると海面の水温が熱帯より低いため水蒸気の補給が減り、上空に寒気が流れ込むと、台風本来の性質を失って「温帯低気圧」に変わります。
北海道は本州よりさらに北にあるため、台風のまま近づく前に温帯低気圧に変わったり、偏西風に流されて東の海上へ抜けたりすることが多くなります。北海道地方への接近は平年1.9個で、沖縄地方(7.7個)の4分の1ほどです。それでも北海道への上陸は1951年以降に7回あり、まったく来ないわけではありません。
また、温帯低気圧に変わっても、強い風の範囲はむしろ広がることがあり、寒気の影響で再び発達することもあると気象庁は注意を呼びかけています。「台風から変わった低気圧」でも、北海道で暴風や大雨になることがあります。
| 年月日 | 台風 | 上陸した場所 |
|---|---|---|
| 2016年8月22日 | 台風第9号 | 千葉県館山市付近 |
| 2019年9月9日 | 台風第15号(令和元年房総半島台風) | 千葉県千葉市付近 |
| 2026年8月11日 | 台風第15号 | 茨城県南部(茨城県に初の上陸) |
東京都は、気象庁が公表している上陸数の上位10都道府県(10位は7回)に入っていません。東京都の本土の海岸は東京湾の奥にあり、台風の中心はその手前で静岡県や千葉県などの海岸線に達しやすい位置にあります。伊豆諸島は東京都ですが、小さな島なので中心が通っても「通過」になります。
関東地方では、千葉県(上陸10回)への上陸が目立ちます。2019年の令和元年東日本台風(台風第19号)は伊豆半島に上陸したあと関東地方を通過し、東京都を含む広い範囲に大雨特別警報が出ました。東京に上陸しなくても、関東甲信地方への接近は平年3.3個あり、大きな被害が出ることがあります。
| 内容 | |
|---|---|
| 台風 | 北西太平洋(赤道より北・東経180度より西)と南シナ海の、最大風速およそ17m/s以上の熱帯低気圧 |
| ハリケーン・サイクロン | 大西洋や北東太平洋ではハリケーン、インド洋や南太平洋ではサイクロンなどと呼ばれる |
| フィリピン | 周辺の監視区域に入る熱帯低気圧が年平均約20個、うち8〜9個がフィリピンを横切る |
| 日本 | 台風の接近が年平均11.7個、上陸が3.0個(平年値) |
「台風」は北西太平洋と南シナ海の熱帯低気圧の呼び名なので、台風の影響を受けるのは、この海に面したフィリピン・台湾・中国・ベトナム・韓国・日本などです。フィリピン気象庁(PAGASA)によると、フィリピン周辺の監視区域には年平均約20個の熱帯低気圧が入り、そのうち8〜9個がフィリピンを横切ります。台風が発生する海に近いため、日本の上陸数(平年3.0個)より大幅に多い数です。
反対に、台風が来ない地域の代表は赤道のすぐ近くです。香港天文台の解説によると、赤道から緯度5度以内では渦を作る地球の自転の効果がとても小さいため、熱帯低気圧はほとんど発生しません。大西洋や南半球の国でも、ハリケーンやサイクロンという別の名前の、同じしくみの嵐が来ることがあります。
A. 平年値(1991〜2020年の平均)は3.0個です。1951〜2025年の75年間で上陸した台風は218個で、最も多い年は2004年の10個でした。年ごとの数は台風は年に何個?の記事で紹介しています。
A. あります。たとえば2016年の台風第9号は、千葉県館山市付近に上陸したあと関東地方から東北地方を進み、北海道の日高地方に再び上陸しました(前橋地方気象台)。
A. 気象庁の上陸の定義が「北海道・本州・四国・九州の海岸線に中心が達した場合」だからです。沖縄本島のような島を中心が横切った場合は「通過」と呼びます。沖縄地方への接近は平年7.7個で、13地方で最も多い数です。
A. 上陸は9月(平年1.0個)と8月(0.9個)が多く、7〜10月で1年の上陸の9割以上を占めます。月ごとの数は台風が多い月の記事にまとめています。
その年の台風の発生数・上陸数は台風ウォッチで毎日確かめられます。台風のあとの大雨の記録は豪雨データにまとめています。
この記事の情報は2026年10月14日時点のものです。主な出典: 気象庁「台風の統計資料」(上陸数・接近数・平年値・順位)「台風とは」「台風の一生」、札幌管区気象台・仙台管区気象台・東京管区気象台・前橋地方気象台の気象速報、フィリピン気象庁(PAGASA)、香港天文台。2026年の数は速報値で、後日変わることがあります。台風の発生や進路を予想するものではありません。防災の判断は気象庁や自治体の最新の発表をご確認ください。