紅葉しない木は、冬も葉をつけたままの「常緑樹」です。スギ・ヒノキ・マツ、クスノキ・ツバキなどがこれにあたります。反対に、紅葉するのは秋に葉を落とす「落葉樹」で、モミジ(カエデ)・イチョウ・サクラ・ケヤキなどが代表です。この記事では、常緑樹と落葉樹、広葉樹と針葉樹の違いを整理し、赤や黄色になる木の種類と、気象庁の観測(紅葉・黄葉データベース)から見たイチョウとモミジの時期の違いを紹介します。
| 常緑樹(紅葉しない) | 落葉樹(紅葉する) | |
|---|---|---|
| 冬の葉 | つけたまま。古い葉から少しずつ入れ替わる | 秋にいっせいに落とす |
| 冬の寒さへの備え | 凍っても傷みにくい、頑丈な葉で耐える | 葉を落として寒さを避ける |
| 秋の葉の色 | 緑のまま | 赤・黄色・茶色に変わってから落ちる |
| 主な木 | スギ・ヒノキ・マツ・クスノキ・シイ・カシ・ツバキ | モミジ・イチョウ・サクラ・ケヤキ・ブナ・コナラ |
木の冬の過ごし方には、大きく2つの型があります。京都大学の研究紹介によると、落葉樹は葉を落として冬を「避け」、常緑樹は葉を残して冬を「耐える」戦略をとっています。常緑樹は凍結に負けない頑丈な葉をつくるため、落葉樹の約2倍の炭素(材料)を葉に使い、そのぶん長い期間光合成をして取り戻しているそうです。
紅葉は、落葉樹が葉を落とす準備の途中で起きる色の変化です。そのため、冬も葉を使い続ける常緑樹は、秋になっても青々としたままです。ただし常緑樹も葉がずっと残るわけではなく、古い葉から少しずつ入れ替わっています。
| 広葉樹(平たく広い葉) | 針葉樹(細い針のような葉) | |
|---|---|---|
| 常緑樹 紅葉しない | クスノキ・シイ・カシ・ツバキ | スギ・ヒノキ・マツ |
| 落葉樹 紅葉する | モミジ・サクラ・ケヤキ・ブナ・コナラ・カツラ | カラマツ・メタセコイア |
紅葉するかどうかを決めるのは、葉の形(広葉樹か針葉樹か)ではなく、冬に葉を落とすかどうか(落葉樹か常緑樹か)です。広葉樹にも紅葉しない常緑樹(クスノキ・ツバキなど)があり、針葉樹にも紅葉する落葉樹があります。
針葉樹で紅葉する代表がカラマツです。北海道森林管理局の樹木解説では、カラマツはマツ科の落葉高木で、秋に黄葉してから葉を落とすと紹介されています。なお、イチョウは広い葉をもちますが、植物の分類では針葉樹と同じ裸子植物の仲間で、秋に黄葉する落葉樹です。
| 色 | 木の例 | ひとこと |
|---|---|---|
| 赤(紅葉) | イロハモミジ・ヤマモミジ・ハウチワカエデ・ハゼノキ・ナナカマド・ウリハダカエデ | イロハモミジは「紅葉の王様」。ハゼノキは暖かい土地でも色づく |
| 黄色(黄葉) | イチョウ・イタヤカエデ・カツラ・カラマツ・クリ・アキニレ・コナラ | イタヤカエデは黄色くなるカエデの代表 |
| 色が変わる・木で違う | ナツツバキ・ブナ・ケヤキ | ナツツバキは黄色から赤に。ブナは黄色か赤。ケヤキは1本に黄〜赤が混じる |
| 茶色(褐葉) | 多くの落葉樹の最後の色 | 赤や黄色の葉も、落ちる前後に茶色くなる |
秋の葉の色は、大きく赤・黄色・茶色に分けられます。赤くなるのが「紅葉(こうよう)」、黄色くなるのが「黄葉(こうよう・おうよう)」、茶色くなるのが「褐葉(かつよう)」で、ふだんはまとめて「紅葉」と呼んでいます。
同じ種類でも、色は1つに決まっているわけではありません。農林水産省の広報誌『aff』は、ブナは秋に黄色か赤になり、コナラは若い木ほど赤く染まりやすいと紹介しています。北海道森林管理局も、同じハウチワカエデで赤い木と黄色い木があったとして、温度や光の当たり方で色が変わることがあると説明しています。赤や黄色になる仕組みは紅葉はなぜ赤くなる?の記事で、秋の気温と色づきの時期の関係は紅葉が遅いのはなぜ?の記事で詳しく見ています。
| 名前 | 秋の色 | 見られる所 |
|---|---|---|
| イロハモミジ(イロハカエデ) | 赤 | 福島県より南の本州・四国・九州。気象庁の観測の中心 |
| ヤマモミジ・オオモミジ | 赤 | 北海道の気象台などで代わりに観測 |
| ハウチワカエデ | 赤(黄色の木も) | 北海道・本州 |
| イタヤカエデ | 黄色 | 釧路の気象台で観測 |
モミジやカエデの仲間は、植物の分類ではカエデ属という1つのグループです。以前は「カエデ科」とされていましたが、遺伝子の研究にもとづく新しい分類(APG分類)ではムクロジ科カエデ属に入れられています(東京都薬用植物園の資料など)。図鑑や資料によって「カエデ科」「ムクロジ科」の両方の書き方があるのはこのためです。
気象庁の紅葉の観測も、このカエデ属の木が対象です。主にイロハモミジ(イロハカエデ)を観測し、育たない地域ではヤマモミジ・オオモミジ、黄色くなるイタヤカエデを観測しています。観測地点ごとの木の種類は、紅葉・黄葉データベースの一覧で確かめられます。
気象庁は、全国の気象台でかえでの紅葉日といちょうの黄葉日を観測しています。両方の平年値がある48地点で比べると、38地点でいちょうのほうが早く色づき、差の真ん中の値は7日でした。8都市で見ると、名古屋・京都・大阪・福岡では9〜11日、広島で7日、東京で5日いちょうが早く、札幌・仙台ではかえでのほうが早くなっています。
東京(気象庁の観測地点)のいちょうの黄葉日は平年11月23日、葉の約8割が落ちる落葉日は12月3日です。年代別の平均は1960年代の11月15日から2020年代は11月26日へ遅くなり、2024年は12月3日と、記録が残る1953年以降で最も遅い黄葉日でした。2025年は11月22日と、平年より1日早めでした。都内のイチョウ並木の見頃は、11月下旬が1つの目安になります。
| 見るところ | 紅葉しない(常緑樹) | 紅葉する(落葉樹) |
|---|---|---|
| 冬の姿 | 葉が茂ったまま | 枝だけになる |
| 葉の手ざわり(広葉樹) | 厚くて硬く、つやがあることが多い | 薄くてやわらかいことが多い |
| 針葉樹のとき | スギ・ヒノキ・マツなどは緑のまま | カラマツ・メタセコイアは色づく |
| 名前に「モミジ・カエデ」 | - | ほとんどが紅葉・黄葉する |
いちばん確かなのは、冬の姿を思い出すことです。冬に枝だけになる木は落葉樹なので、秋に色づきます。冬も葉が茂っている木は常緑樹で、紅葉はしません。広葉樹なら、常緑樹の葉は厚くて硬く、表面につやがあることが多いのも手がかりになります。
庭や公園で秋の色を楽しみたいときは、赤ならイロハモミジやハゼノキ、黄色ならイチョウやカツラなど、上の表の落葉樹を選ぶと分かりやすいでしょう。
A. 落ちます。常緑樹も古くなった葉から少しずつ入れ替わるため、一度に葉がなくならず、1年中緑に見えます。落葉樹のように秋にいっせいに落とさないのが違いです。
A. ソメイヨシノなど多くのサクラは落葉樹で、秋に紅葉します。ただし京都大学の研究紹介によると、サクラの仲間(サクラ属)にも常緑の種類があり、そちらは秋も青々としたままです。
A. 黄色くなるので、正確には「黄葉」です。気象庁も、かえでは「紅葉日」、いちょうは「黄葉日」として分けて観測しています。ふだんの会話では、まとめて紅葉と呼んでかまいません。
A. スギ・ヒノキ・マツなど多くの針葉樹は常緑樹なので紅葉しません。ただしカラマツやメタセコイアは落葉する針葉樹で、秋に色づいてから葉を落とします。
お住まいの近くの気象台のいちょう・かえでの記録は紅葉・黄葉データベースで見られます。地域ごとの紅葉の時期は紅葉の時期はいつ?の記事にまとめています。
この記事の情報は2026年10月15日時点のものです。主な出典: 京都大学 研究成果「冬を耐える常緑樹と避ける落葉樹が共存する謎を解き明かす」(2022年)、農林水産省 広報誌『aff』2016年10月号・2019年10月号、北海道森林管理局の資料、島根県中山間地域研究センター「黄色く紅葉する樹」(2019年)、環境省 皇居外苑「イチョウ」、東京都薬用植物園の資料、気象庁「生物季節観測」「気候変動監視レポート2023」。木の色づき方は場所や年によって変わることがあります。