帰省したくないと感じるのは、珍しいことではありません。2026年のお盆について、高速バスや旅行の予約サービスを運営するWILLERが会員に聞いた調査では、帰省を「予定していない」人が47.1%で、「予定している」の31.1%より多い結果でした。この記事では、調査の実施元・時期・人数が分かる調査をもとに、帰省で疲れる理由、帰らない・短くする・ホテルに泊まるといった選び方と伝え方、迎える親の側の負担までまとめます。お盆の宿の混み具合は、当サイトの宿泊者数データベース(観光庁の統計)で確かめました。
| 調査 | 時期・対象 | 結果 |
|---|---|---|
| WILLER「2026年お盆帰省動向」 | 2026年6月8〜14日 WILLERの会員1,829人 | お盆の帰省を予定していない 47.1%/予定している 31.1%/未定 21.9% |
| ハルメク(HALMEK up・生きかた上手研究所) | 2026年6月19〜23日 40〜65歳の女性573人 | 別居の親がいる人のうち、2026年のお盆に自分の実家へ帰省する 41.6%/しない 34.0%/未定 24.4% |
| クロス・マーケティング「帰省土産に関する調査」 | 2025年12月12〜14日 全国の20〜69歳1,100人 | 2025〜2026年の年末年始に帰省する予定がある 21.1%。帰省しない理由の1位は「自宅でゆっくり過ごしたいから」(31.1%) |
| 北海道新聞のウェブアンケート | 2026年3月 410人(女性308人・男性102人) | 義理の親の実家への帰省は「あまり気が進まない」「負担に感じる」が計 44%、「楽しみ」「どちらかと言えば楽しみ」が計37% |
4つの調査は対象も聞き方も違いますが、どれを見ても「帰省しない」「気が進まない」は少数派ではありません。クロス・マーケティングの調査では、年末年始に帰省する予定がある人は約5人に1人でした。ただしこの調査の回答者には、実家暮らしで帰省の必要がない人も含まれています。
北海道新聞のアンケートでは、義理の親の実家への帰省について、女性は気が進まない側が52%、男性は楽しみな側が58%と、受け止め方が分かれました。夫婦の片方は楽しみでも、もう片方は気が重いということが、よくあると考えてよさそうです。
「帰省ブルー」は、帰省が近づくと気が重くなる、憂うつになる気持ちを指す言い方です。決まった定義のある言葉ではなく、年末年始やお盆の前に、テレビのニュースや雑誌でよく使われています。行き先は義実家だけでなく、自分の実家のこともあります。理由は人によってさまざまで、次の節の表のように、移動の疲れ・気づかい・干渉などが重なって起きることが多いものです。
| 疲れる理由 | よくある場面 | 軽くするヒント |
|---|---|---|
| 移動・混雑 | 満席の新幹線、渋滞の高速道路、子連れの長旅 | 混む日をずらす。早めに指定席を取る |
| 気づかい・人間関係 | 親戚の集まり、義理の家族との会話 | 会う日・時間を決めて、ずっと一緒にいない |
| 生活リズム・寝る場所 | 寝る時間・食事の時間が違う。個室がない | 泊数を減らす。近くのホテルに泊まる |
| 家事・手伝い | 食事の支度や片付けが一人に偏る | 外食や総菜を使う。役割を夫婦で分ける |
| 干渉・質問 | 結婚・子ども・仕事・収入のことを聞かれる | 返し方を決めておく(下の表) |
| お金 | 交通費・手土産・子どもへのお小遣い | 時期をずらして運賃を抑える。夫婦で予算を決める |
帰省の疲れは、1つの大きな理由より、小さな負担が何日も重なることで大きくなりがちです。北海道新聞のアンケートでも、義理の親の実家への帰省で負担に感じることは、会話や人間関係のほか、泊まる環境・お金・家事の分担と、いくつにも分かれていました。どれがいちばん重いかを夫婦や家族で話しておくと、減らす順番が決めやすくなります。
移動の疲れは、混む日を避けるだけでもかなり変わります。年末年始やお盆に新幹線・高速道路が混む日は帰省ラッシュの記事にまとめています。
自分の実家でも疲れるのは、ふしぎなことではありません。ひとり暮らしや結婚で自分の生活ができあがると、実家の生活リズムや親の口出しが、思った以上に窮屈に感じられます。家に帰ると子ども扱いされたり、子どものころの役割に戻されたりすることが、つらさの理由になる人もいます。
親の老いに気づくことも、気持ちが重くなる理由の1つです。ハルメクの調査(2026年6月・40〜65歳の女性573人)では、別居の親がいる人の96.4%が、帰省したときに親の老いを感じたことがあると答えました。多かったのは「体力の衰え」53.1%、「耳の聞こえ」49.0%、「物忘れ」47.3%です。うれしいはずの帰省が、介護や将来の心配と結びついて気が重くなる、という面もあります。
義実家(配偶者の実家)への帰省は、自分の実家より気づかいが多くなります。北海道新聞のアンケートで、義理の親の実家への帰省に気が進まない側が44%だったのは、上で見たとおりです。家の決まりや食事の好みが分からない、手伝うべきか座っているべきか迷う、といった小さな気づかいが、泊数のぶんだけ続きます。
TBS NEWS DIG Powered by JNN「帰省は憂うつ?“義実家”から「いつ来る?」連絡の嵐に、寝てるだけの夫 “プレッシャー”で独身も憂うつに【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG」(2024年12月公開)。義実家からの「いつ来る?」という連絡や、独身の人も感じるプレッシャーなど、帰省が憂うつになる話題を解説するニュースです
義実家での負担を減らすいちばんの近道は、実の子である配偶者が間に入ることです。到着と帰る日時の連絡、食事や手伝いの段取り、答えにくい質問への返事などは、配偶者が自分の親とやりとりするほうが角が立ちにくくなります。帰省の前に「何がつらいか」を具体的に1〜2個伝えておくと、相手も動きやすくなります。
| よく聞かれること | 返し方の例 |
|---|---|
| 結婚はまだ? | 「いい人がいたらちゃんと報告するね」と短く答えて、話題を変える |
| 子どもはまだ?/2人目は? | 「夫婦で考えているから、見守ってもらえるとうれしい」 |
| 仕事・収入はどう? | 「元気にやってるよ」と近況だけ話す。金額は言わなくてよい |
| 何度も同じことを聞かれる | 事前に家族(配偶者・きょうだい)に「この話題は避けてほしい」と頼んでおく |
帰省のときに、結婚・出産・仕事などを繰り返し聞かれてつらいことを、「帰省ハラスメント」と呼ぶことがあります。法律で決まった言葉ではありませんが、聞く側に悪気がなくても、聞かれる側には重くのしかかることがあります。まじめに全部答えようとせず、短く答えて話題を変えると決めておくだけでも、気持ちが楽になります。
| やり方 | 内容 |
|---|---|
| ビデオ通話・電話 | 年末年始やお盆の日に時間を決めてかける。孫の顔を見せられる |
| 贈り物・手紙 | お歳暮やお中元、地元の名物、写真を送る |
| 時期をずらして帰る | 連休を外して1泊だけ、日帰りで顔を見せる |
| 親に来てもらう・外で会う | 中間の街で食事をする。親を自宅に招く |
| 一部の人だけ帰る | 配偶者と子どもだけ、または夫婦がそれぞれ自分の実家に帰る |
帰省は、法律や制度で決まった義務ではなく、家庭ごとの習慣です。上の調査でも、2026年のお盆に帰省を予定していない人は、WILLERの会員調査で47.1%、ハルメクの調査で34.0%いました。帰省しないこと自体が親不孝というわけではありません。
帰らないと決めても、罪悪感が残るなら、上の表のように別の形で連絡を取り、元気な様子を伝えましょう。無理をして帰省して体調を崩したり、言い争いになったりするなら、帰らない・短くするほうが、親子の関係にとってよいこともあります。
| 場面 | 伝え方の例 |
|---|---|
| 今回は帰らない | 「今回の年末年始は家でゆっくりすることにしたよ。3日の昼にビデオ通話するね」 |
| 泊数を減らす | 「今回は1泊だけになりそう。そのぶん、ご飯は一緒に食べようね」 |
| 時期をずらす | 「お盆は混むから、9月の連休に顔を出すね」 |
| 義実家に配偶者から伝える | 「今回は僕(私)と子どもだけで行くね。また改めて二人で顔を出すから」 |
伝えるときのコツは、早めに・理由は短く・代わりの予定を添えるの3つです。直前に断ると、親は食事や布団の準備をしてしまっています。「仕事が忙しい」などの作り話は、あとで話が合わなくなることもあるので、「家でゆっくりしたい」「混む時期を避けたい」と正直に短く言うほうが続けやすくなります。
義実家への帰省をやめたい・減らしたいときは、まず夫婦で話し合い、配偶者の口から自分の親に伝えてもらうのが基本です。嫁や婿の側から直接断ると、「嫌われている」と受け取られることがあるためです。いきなりゼロにするより、泊まりを日帰りにする、年2回を1回にするなど、少しずつ形を変えると受け入れられやすくなります。
カンテレNEWS「【年末年始「帰省ブルー」】気が重い「義理の実家」への帰省 夫婦それぞれ自分の実家に行く「セパレート帰省」が増加中〈カンテレNEWS〉」(2024年12月公開)。義理の実家への帰省が気が重い人がいることと、夫婦がそれぞれ自分の実家に帰る形を伝えるニュースです
どの形がよいかは家庭によって違います。「毎回こうしなければ」と決めつけず、その年の仕事や子どもの予定に合わせて選べばよいでしょう。
| 迎える側の負担 | 帰る側ができること |
|---|---|
| 毎食の支度と片付け | 1食は外食や総菜にする。片付けは帰る側が受け持つ |
| 掃除・布団・部屋の準備 | 泊数を早めに伝える。布団のレンタルやホテル泊も考える |
| 食費・光熱費 | 食材を持って行く、買い物代を出すなど、お金のかからない形にする |
| 生活リズムの乱れ・孫の相手 | 親が休む時間をつくる。子どもを連れて外に出る時間を増やす |
「帰省される側ストレス」と検索されることがあるように、迎える親の側も疲れることがあります。食事の支度や布団の準備、孫の相手は、年齢を重ねた親には体力的にきつい場合があります。子や孫に会えるうれしさと、迎える準備の大変さは、両方あってふつうのことです。
帰る側が「お客さん」にならず、家事や費用を少しずつ受け持つと、迎える側の負担は軽くなります。迎える側も、つらければ「今回は外でご飯にしよう」「2泊までにしてね」と伝えてかまいません。
| 泊まり方 | よいところ | 気になるところ |
|---|---|---|
| 実家に泊まる | 宿代がかからない。親と長く過ごせる | 親の準備の負担。寝る場所・生活リズムで疲れやすい |
| 日帰り | 気づかいが短時間で済む。費用も少ない | 遠方だと移動がきつい。ゆっくり話せない |
| 近くのホテルに泊まる | 昼は実家、夜は休める。親の布団や食事の準備がいらない | 宿代がかかる。親が「水くさい」と感じることがある |
実家の近くのホテルに泊まる「ホテル帰省」は、失礼と決まったものではなく、親の負担を減らす方法の1つです。博報堂生活総合研究所は2025年12月、実家に泊まるか泊まらないかの二択ではなく、泊まる場所を工夫して家族にとってちょうどよい距離(同研究所の言葉で「家族の適温」)を探す動きとして、ホテル帰省を紹介しています。赤ちゃんの夜泣きで親を起こさないように、といった理由で選ぶ家族もいます。
ただ、実際にホテルや旅館に泊まる人はまだ少数です。ハルメクの調査(2026年6月・40〜65歳の女性)では、2026年のお盆に自分の実家へ帰省する人のうち、日帰りなど宿泊しない人が53.8%、実家に泊まる人が44.2%、ホテル・旅館は1.9%でした。親が慣れていない形なので、伝え方には少し気をつけたいところです。
観光庁の宿泊旅行統計調査で、日本人の延べ宿泊者数を月別に見ると、お盆のある8月が1年で最も多い月です。2011〜2025年の15年のうち13年で8月が最多で、例外は新型コロナの影響を受けた2020年と2021年だけでした。2023〜2025年の平均では、8月は5,326万人泊で、1か月平均(4,099万人泊)の約1.3倍です。1日あたりにすると、8月は毎晩およそ172万人がどこかの宿に泊まっている計算になります。
一方、12月は3,974万人泊、1月は3,437万人泊で、月全体では1か月平均並みか、それより少なめです。ただし月の合計なので、大みそかや三が日のような特定の日の混み具合はこの統計では分かりません。お盆にホテル帰省をするなら、宿は早めに押さえるのが安心で、年末年始も人気の日は早めに確かめておきましょう。自分の帰省先の県の月別の数字は、宿泊者数データベースで見られます。
| 決めること | 例 |
|---|---|
| 泊数と帰る日 | 「2泊3日で、3日の昼に出る」と先に伝える |
| 移動の日 | 混む日を1日ずらす。指定席は早めに取る |
| 家での役割 | 料理は親、片付けと買い物は自分たち、など |
| 一人になる時間 | 散歩・買い物・地元の友人に会う時間をつくる |
| 避けたい話題 | 配偶者・きょうだいに事前に伝えておく |
帰省のつらさは、「いつまでいるか分からない」「ずっと一緒にいる」状態で大きくなりやすいものです。泊数と帰る日を先に決めて伝え、1日の中に一人の時間をつくるだけでも、気持ちに余裕が生まれます。持って行く物の準備は帰省の持ち物リストの記事も参考にしてください。
実家に帰っても、することがなくてつまらないと感じる人もいます。そんなときは、実家でしかできない用事を1つ決めておくと、時間の使い方が変わります。たとえば、親と一緒に古い写真を見る、家の片付けや電球の交換を手伝う、親のスマホの設定を見てあげる、地元の店やお墓参りに出かける、などです。親の暮らしの様子が分かり、次に帰るときの安心にもつながります。
帰省のことを考えると眠れない、気分の落ち込みが何日も続く、といったときは、一人で抱え込まないでください。厚生労働省は、悩みを相談できる電話やSNSの窓口を「まもろうよ こころ」のページにまとめています。電話ならこころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)にかけると、住んでいる地域の公的な相談窓口につながります(受付の曜日・時間は都道府県によって違い、通話料がかかります)。体の不調もあるときは、かかりつけの医療機関に相談しましょう。
A. 「いい人がいたら報告するね」のように短く答える文を1つ決めておき、それ以上は話を広げないのが現実的です。きょうだいなど話しやすい家族に、「親にこの話題は控えてほしいと伝えて」と頼む方法もあります。
A. 帰省は義務ではないので、アルバイトや勉強、友人との予定で帰らない学生もいます。ただ、仕送りや学費を出してもらっている場合は、帰らない理由と近況を早めに親に伝えておくと、心配をかけずに済みます。
A. 「夜はホテルで休むけど、昼はずっと一緒にいるね」と、一緒に過ごす時間を具体的に伝えると安心してもらいやすくなります。初めての年は、1泊だけ実家に泊まって残りをホテルにするなど、間を取る方法もあります。
A. 新幹線・飛行機は、休みの初めの土曜日に下り、休みの最終日ごろに上りが混む傾向があります。2025年度の年末年始は、下りが12月27日(土)前後、上りが1月4日(日)前後でした。2026〜2027年の暦での目安は帰省ラッシュの記事と帰省・連休の混雑データベースで確かめられます。
帰省すると決めたら、帰省ラッシュの記事で混む日を避け、持ち物リストで準備を。帰省という言葉そのものの意味は帰省の意味の記事にまとめています。
この記事の情報は2026年10月17日時点のものです。主な出典: WILLER MARKETING「2026年お盆帰省動向」(2026年6月30日発表)、HALMEK up・ハルメク 生きかた上手研究所「ミドルエイジ女性の『お盆の帰省』に関する意識・実態調査」(2026年7月29日発表)、クロス・マーケティング「帰省土産に関する調査(2025年)」(2025年12月17日発表)、北海道新聞のウェブアンケート(義理の親の実家への帰省・2026年5月1日掲載)、博報堂生活総合研究所「月刊 生活総研」2025年12月号、観光庁「宿泊旅行統計調査」、厚生労働省「まもろうよ こころ」。調査はいずれもインターネット調査で、日本全体の割合を表すものではありません。家族との関係や心身の状態は人によって違うため、気になる症状が続くときは医療機関や公的な相談窓口に相談してください。