暖冬の年の夏は、冷夏になるとも猛暑になるとも決まっていません。当サイトの冬の寒さカウンターと猛暑日カウンターが集めている気象庁の毎日のデータで、8都市の50年を数えると、暖冬だった16回の冬の次の夏は、暑夏9回・平年並2回・冷夏5回でした。この記事では、2001年までは暖冬のあとに冷夏が多く、2002年以降は猛暑が多い理由と、エルニーニョ現象・地球温暖化など暖冬の原因を、気象庁の資料とあわせて整理します。
8都市の50年(1977〜2026年)で、暖冬だった16回の冬の次の夏は、暑夏が9回、平年並が2回、冷夏が5回でした。寒冬の次の夏は22回のうち冷夏が12回で、平年並の冬の次の夏は暑夏・平年並・冷夏が4回ずつです。暖冬のあとの夏は暑夏がやや多いものの、冷夏も3回に1回ほどあり、「暖冬なら冷夏」とも「暖冬なら猛暑」とも言えません。
気象庁の定義では、冷夏は夏(6〜8月)の平均気温が3階級で「低い」夏、暑夏は「高い」夏です。どちらも平年の上位・下位の3分の1にあたるので、もし冬と夏に関係がなければ、どの冬のあとでも暑夏・平年並・冷夏はほぼ3分の1ずつになります。
| 暖冬だった冬 | 冬の平年差 | 次の夏 | 夏の平年差 | その年の東京の猛暑日 | 大阪の猛暑日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1978〜79年 | +0.3℃ | 冷夏 | −0.5℃ | 0日 | 6日 |
| 1988〜89年 | +0.5℃ | 冷夏 | −1.1℃ | 0日 | 2日 |
| 1989〜90年 | +0.3℃ | 暑夏 | +0.5℃ | 2日 | 20日 |
| 1991〜92年 | +0.4℃ | 冷夏 | −1.1℃ | 2日 | 3日 |
| 1992〜93年 | +0.6℃ | 冷夏 | −2.0℃ | 0日 | 1日 |
| 2003〜04年 | +0.3℃ | 暑夏 | +0.5℃ | 6日 | 20日 |
| 2006〜07年 | +1.1℃ | 平年並 | −0.1℃ | 7日 | 16日 |
| 2008〜09年 | +0.8℃ | 冷夏 | −0.5℃ | 0日 | 3日 |
| 2009〜10年 | +0.3℃ | 暑夏 | +1.1℃ | 13日 | 31日 |
| 2015〜16年 | +0.7℃ | 暑夏 | +0.4℃ | 3日 | 26日 |
| 2016〜17年 | +0.5℃ | 暑夏 | +0.3℃ | 2日 | 15日 |
| 2018〜19年 | +0.8℃ | 平年並 | −0.1℃ | 12日 | 19日 |
| 2019〜20年 | +1.5℃ | 暑夏 | +0.5℃ | 12日 | 22日 |
| 2020〜21年 | +0.3℃ | 暑夏 | +0.5℃ | 2日 | 15日 |
| 2023〜24年 | +1.4℃ | 暑夏 | +1.8℃ | 20日 | 41日 |
| 2025〜26年 | +0.8℃ | 暑夏 | +0.9℃ | 12日 | 34日 |
暖冬だった16回を年代で分けると、結果ははっきり変わります。2001年までの暖冬5回は、次の夏のうち4回が冷夏でした。一方、2002年以降の暖冬11回は、次の夏のうち8回が暑夏で、冷夏は2009年の1回だけです。1992〜93年の暖冬の次の1993年の夏は、8都市平均で平年より2.0℃低い記録的な冷夏で、米の不作につながりました。
これは、冬の暖かさが夏を決めているのではなく、冬も夏も同じように暖かくなってきたためです。8都市平均の平年差は、1977〜1986年の10年が冬−1.3℃・夏−0.9℃、2017〜2026年の10年が冬+0.4℃・夏+1.0℃でした。1977〜1986年ごろは冬も夏も涼しく、2017〜2026年は冬も夏も暖かいので、データを並べると「暖冬と猛暑」が重なって見えます。
2017〜2026年の10回の夏は、8都市平均で暑夏が9回、平年並が1回(2019年)で、冷夏は一度もありませんでした。冬が暖冬でも寒冬でも、夏は暑くなりやすくなっています。8都市の毎年の猛暑日の日数は猛暑日カウンターで確かめられます。
| 原因 | どう暖かくなるか | 例 |
|---|---|---|
| 偏西風の蛇行 | 上空の偏西風が日本付近で北に蛇行すると、北からの寒気が流れ込みにくくなる | 2019〜20年の記録的な暖冬 |
| エルニーニョ現象 | 冬の季節風が弱まりやすい。気象庁の統計では、冬の気温は西日本で「平年並か高い」傾向 | 2023〜24年の暖冬 |
| 地球温暖化 | 日本の冬の平均気温は100年あたり1.26℃のペースで上昇。平年より暖かい冬が出やすくなる | 近年の暖冬の背景 |
| 黒潮大蛇行 | 沿岸の海水温が上がり、関東・東海で湿度や気温が上がることがあると指摘されている。冬の暖かさとの関係ははっきりしない | 2017年8月〜2025年4月 |
1つの冬の暖かさを左右する大きな要因は、上空を流れる偏西風です。気象庁は、記録的な暖冬だった2019〜20年の冬について、偏西風が日本付近で北に蛇行し続けて寒気の流れ込みが弱かったことに加え、地球温暖化にともなう気温の上昇傾向も背景にあったと分析しています。
エルニーニョ現象は、太平洋の赤道付近の日付変更線あたりから南米の沿岸にかけて、海面水温が平年より高い状態が1年ほど続く現象です。気象庁によると、起きている冬はアリューシャン低気圧が北東に偏って冬の季節風が弱まる傾向があり、冬の平均気温は西日本で「平年並か高い」傾向があります。ただし、暖冬だった2025〜26年の冬はエルニーニョ現象が起きていない冬で、暖冬はエルニーニョ現象だけで決まるわけではありません。
気象庁によると、日本の冬(12〜2月)の平均気温は、変動をくり返しながら100年あたり1.26℃のペースで上がっています。夏(6〜8月)は100年あたり1.41℃です。暖冬かどうかは1991〜2020年の平年と比べて決めるので、気温が全体に上がると、平年より暖かい冬が出やすくなります。2025〜26年の冬の全国の平均気温は平年より0.90℃高く、1898年以降で5番目の高さでした。
黒潮大蛇行は、日本の南を流れる黒潮が紀伊半島や東海沖で大きく南に曲がって流れる状態です。気象庁によると、2017年8月に始まった大蛇行は7年9か月続き、2025年4月に終わりました。海洋研究開発機構の研究者は、大蛇行で関東・東海の沿岸に水蒸気が多く送られ、湿度と気温が上がることが分かってきたと説明しています(ウェザーニュース、2025年5月)。
| 判定 | 回数 | 冬 |
|---|---|---|
| 暖冬 | 4回 | 2018〜19年・2019〜20年・2020〜21年・2023〜24年 |
| 平年並 | 2回 | 2022〜23年・2024〜25年 |
| 寒冬 | 2回 | 2017〜18年・2021〜22年 |
ただ、大蛇行が続いた8回の冬(2017〜18年〜2024〜25年)を当サイトの8都市平均で判定すると、暖冬が4回、平年並が2回、寒冬が2回でした。大蛇行の期間でも寒冬はあり、黒潮大蛇行だけで暖冬になるとは言えません。
| エルニーニョの冬 | 冬の判定 | 次の夏 |
|---|---|---|
| 1976〜77年 | 寒冬 | 冷夏 |
| 1979〜80年 | 寒冬 | 冷夏 |
| 1982〜83年 | 寒冬 | 冷夏 |
| 1986〜87年 | 寒冬 | 冷夏 |
| 1987〜88年 | 寒冬 | 冷夏 |
| 1991〜92年 | 暖冬 | 冷夏 |
| 1997〜98年 | 平年並 | 冷夏 |
| 2002〜03年 | 寒冬 | 冷夏 |
| 2009〜10年 | 暖冬 | 暑夏 |
| 2014〜15年 | 寒冬 | 冷夏 |
| 2015〜16年 | 暖冬 | 暑夏 |
| 2018〜19年 | 暖冬 | 平年並 |
| 2023〜24年 | 暖冬 | 暑夏 |
「エルニーニョの年は暖冬・冷夏」は、気象庁の統計にもとづく言い方です。気象庁によると、エルニーニョ現象が起きている夏は、平均気温が西日本で低い傾向(北・東日本は平年並か低い傾向)があり、冬は西日本で平年並か高い傾向があります。
当サイトの8都市のデータで、エルニーニョ現象が起きていた13回の冬を見ると、暖冬は5回で、寒冬のほうが7回と多くありました。次の夏は冷夏が9回ですが、そのうち8回は2003年までです。2010年以降の5回では冷夏は2015年の1回だけで、2010年・2016年・2024年は暑夏でした。エルニーニョ現象が起きても、温暖化で底上げされた2010年以降の夏は、冷夏になりにくくなっています。
日テレNEWS「【#みんなのギモン】“エルニーニョ”なのに猛暑?」(2026年6月公開)。エルニーニョ現象が起きているのに猛暑になるのはなぜか、という疑問を取り上げた解説ニュースです。
エルニーニョ現象が終わったあとの夏が暑くなることもあります。気象庁は、インド洋の熱帯の海面水温はエルニーニョ現象の発生から遅れて高くなり、現象が終わったあともしばらく高い状態が続く傾向があると説明しています。冬の時点で次の夏を決めつけないほうがよい理由の1つです。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| エルニーニョ現象 | 2026年春から発生。9月の監視海域の海面水温は基準値より+4.0℃で、1949年以降で最も高かった1997年12月(+3.6℃)を超え、過去最大の強さ。冬にかけて続く見込み(100%) |
| インド洋の熱帯 | 9月の海面水温は基準値より高く、冬にかけても高い状態が続くと予測 |
| 冬(12〜2月)の気温 | 東・西日本で「高い」確率60%、沖縄・奄美70%、北日本は「平年並」「高い」ともに40% |
| 2027年の夏の予報 | まだ出ていない。気象庁の暖候期予報は2027年2月22日(月)14時に発表予定 |
2026〜27年の冬は、気象庁の寒候期予報で東・西日本の気温が「高い」確率60%と、暖冬の可能性が高い見通しです。背景には過去最大の強さになったエルニーニョ現象があり、気象庁の監視速報は冬にかけても続く見込みとしています。
2027年の夏については、まだ公的な予報はありません。ここまでのデータのとおり、暖冬だったからといって次の夏が冷夏や猛暑に決まるわけではなく、エルニーニョ現象が春までに終わるか、夏まで続くかでも傾向が変わります。夏の見通しは2027年2月22日の暖候期予報と、その後毎月の3か月予報で確かめるのが確実です。
ただ、2017〜2026年の10回の夏で、8都市平均の冷夏は一度もありませんでした。冬の予報が暖冬でも寒冬でも、エアコンの点検や暑さへの備えは、例年どおり早めに進めておくと安心です。どのくらいの暑さが続くかの目安は、暑さ指数ウォッチで8都市の過去の夏を確かめられます。
A. 気象庁の言葉で、冷夏は夏(6〜8月)の平均気温が3階級表現で「低い」夏、暑夏は「高い」夏です。3階級は1991〜2020年の30年の値を低い順に並べ、3分の1ずつに分けて決めます。暖冬・寒冬も同じ方法で、冬(12〜2月)の平均気温で決まります。くわしくは暖冬とは?何度から暖冬かでまとめています。
A. 8都市の50年では、寒冬22回の次の夏のうち冷夏は12回でした。ただし寒冬の多くは1980年代など冬も夏も涼しかった時期に集中していて、2002年以降の寒冬9回の次の夏で冷夏は2回だけです。暖冬と同じく、冬の寒さから夏は占えません。
A. 1つの冬の暖かさには、偏西風の流れやエルニーニョ現象など、その年ごとの原因があります。一方で、日本の冬の平均気温は100年あたり1.26℃のペースで上がっていて、平年より暖かい冬が出やすくなっていることは確かです。8都市平均でも、冬の平年差は1977〜1986年の10年の−1.3℃から、2017〜2026年の10年は+0.4℃になりました。
A. この記事の表の16回が、当サイトの8都市平均で暖冬だった冬です。都市ごとのランキングや記録的な暖冬は暖冬だった年はいつ?過去50年の8都市ランキングにまとめています。
A. 暖冬の冬は雪が減りやすいものの、強い寒波が来れば大雪になります。札幌は暖冬だった2025〜26年の冬に平年の約1.2倍の雪が降りました。くわしくは暖冬なのに大雪になるのはなぜ?で確かめられます。
8都市の冬日・真冬日は冬の寒さカウンター、夏の猛暑日・熱帯夜は猛暑日カウンターで、毎日自動で更新しています。
この記事の情報は2026年10月10日時点のものです。主な出典: 気象庁「季節予報(FAQ)」「日本の季節平均気温」「エルニーニョ現象発生時の日本の天候の特徴」「エルニーニョ現象及びラニーニャ現象の発生期間」「エルニーニョ監視速報(No.409)」(2026年10月9日)「寒候期予報」(2026年9月18日)「季節予報の発表日」「黒潮大蛇行の終息について」(2025年8月29日)、気象庁 異常気象分析検討会(2020年4月14日)、ウェザーニュース(2025年5月)、気象庁の日別の気象データ(当サイトで集計)。当サイトの平均気温は日最高と日最低の平均で計算しています。季節予報は確率で示される見通しで、天候を約束するものではありません。