暖冬の年に地震が多くなる、という科学的な関係は確認されていません。当サイトの地震カウンターが集めている気象庁の震度データベース(1996年以降・震度1以上の約9万回)で、30回の冬を数えると、地震の回数は暖冬の冬と寒冬の冬でほぼ同じでした。この記事では、冬の大きな地震が暖冬に重なって見える理由を確かめ、熊の冬眠や虫の増え方と暖冬の関係を、公的機関の資料で整理します。
| 冬の判定 | 冬の数 | 震度1以上 | 震度4以上 | 震度5弱以上 |
|---|---|---|---|---|
| 暖冬 | 11回 | 486回 | 12回 | 2回 |
| 平年並 | 9回 | 294回 | 6回 | 1回 |
| 寒冬 | 10回 | 469回 | 12回 | 1.5回 |
1つの冬に起きた震度1以上の地震は、真ん中の値で暖冬の冬が486回、寒冬の冬が469回とほぼ同じでした。震度4以上も12回ずつで、震度5弱以上は暖冬が2回、寒冬が1.5回と大きな差はありません。平年並の冬が少なく見えるのは、9回のうち4回が、記録される地震の数が少なかった1996〜2000年に集中しているためです。
地震は、地下の岩盤に長い年月をかけてたまったひずみが、断層のずれとして一気に解放される現象です。気象庁は「地震雲」についての説明の中で、雲は大気の現象、地震は大地の現象で、両者はまったく別の現象だとしています。冬の気温が数℃高いかどうかで、地下の岩盤の動きが変わるという仕組みは示されていません。
| 日付 | 震源(気象庁の地域名) | 規模 | その冬 |
|---|---|---|---|
| 2016年12月28日 | 茨城県北部 | M6.3 | 暖冬 |
| 2019年1月3日 | 熊本県熊本地方 | M5.1 | 暖冬 |
| 2019年2月21日 | 胆振地方中東部 | M5.8 | 暖冬 |
| 2021年2月13日 | 福島県沖 | M7.3 | 暖冬 |
| 2024年1月1日 | 石川県能登地方 | M7.6 | 暖冬 |
| 2024年1月6日 | 能登半島沖 | M4.3 | 暖冬 |
| 2025年12月8日 | 青森県東方沖 | M7.5 | 暖冬 |
気になるのはこの表です。1996年以降に冬(12〜2月)に震度6弱以上を観測した7日は、すべて暖冬の冬でした。2024年1月1日の能登半島地震も、全国的な暖冬だった2023〜24年の冬に起きています。「暖冬の年は大地震」と言われるのは、こうした記憶が重なるためと考えられます。
ただ、年代で分けると理由が見えてきます。冬に震度6弱以上があった7日は、すべて2016年12月以降です。1996〜2015年の20年は、震度6弱以上の日が1年を通して29日ありましたが、冬は1日もありませんでした。一方、暖冬も2017〜2026年の10冬のうち6冬と、この時期に集中しています。2016年以降に冬の大きな地震と暖冬がたまたま重なったため、結びついて見えるのです。
気象庁は、形の変わった雲と地震の発生について、一定の頻度で起きるまったく関係のない2つの現象が、見かけ上結びつけられることがあるという程度のことだと説明しています。暖冬と地震も、同じように考えるのが自然です。
「冬は地震が多い気がする」という声もありますが、30年の記録では、震度6弱以上を観測した日は冬が7日と4つの季節で最も少なく、春が18日、夏が17日、秋が8日でした。震度1以上の地震も、冬は30年分の17%で、4つの季節で最も少なくなっています。冬に地震が多いということはありませんが、少ないからといって安心はできず、地震はどの季節にも起きると考えておくのが安全です。
全国の地震の回数や直近30日の大きな地震は、地震カウンターで毎日確かめられます。
| 条件 | 冬眠への影響 | 出典 |
|---|---|---|
| 山のエサ(どんぐりなど)が少ない | 冬眠入りが早まる(ふつう12月のところが11月上旬などに) | 環境省の関係省庁連絡会議(2023年10月) |
| 人の生活圏にエサがある | 山にエサがなくても、放置された柿などがあると冬眠入りが遅くなる | 同上 |
| エサ不足や暖冬 | 冬眠せず、12月以降も出没する可能性がある | 群馬県(2023年11月) |
クマの冬眠の時期を大きく左右するのは、気温よりもエサです。環境省の関係省庁連絡会議で、東京農業大学の山﨑晃司教授は、山のどんぐりなどが不足すると冬眠入りが早まる一方、山にエサがなくても人の生活圏に放置された果樹などのエサがあれば、冬眠入りが遅くなると説明しています。暖冬も、冬眠が遅れたり、冬眠しなかったりする要因の1つとして、群馬県などが注意を呼びかけています。
日テレNEWS「【各地でクマの出没】人里に慣れているクマは冬眠遅れるおそれも…専門家指摘 各地でクマの出没止まらず」(2025年11月公開)。人里に慣れたクマは冬眠が遅れるおそれがあるという専門家の指摘を伝えるニュースです。
クマが出る地域では、冬でも自治体の出没情報を確かめ、柿などの実を早めに収穫する、生ごみを外に置かないといった、クマを人里に引き寄せない対策を続けることが大切です。環境省も、冬眠の期間に入るまで、こうした対策が必要だと呼びかけています。
| 虫 | 分かっていること | 出典 |
|---|---|---|
| カメムシ(果樹を加害する種類) | スギやヒノキの実(球果)をエサに夏に増え、11月ごろから落ち葉の下で冬を越す。数を決めるのはエサの量と、冬を越した数 | 千葉県、栃木県 |
| 春の気温が高いとき | 冬を越したカメムシの活動が平年より早まると予想される | 栃木県(2026年3月) |
| ハウスの害虫 | 暖冬の年は、アブラムシなどの発生が早くなると予想される | 長野県(2024年2月) |
カメムシが大量に出る年かどうかを決めるのは、主にエサの量と冬を越した数です。果樹を加害するチャバネアオカメムシは、夏にスギやヒノキの実をエサに増え、11月ごろから山林のふちの落ち葉の下で冬を越します。各県は毎年冬に落ち葉の下で冬を越した数を数えていて、栃木県は2026年3月19日、越冬した数が2025年より多く、3か月予報で気温が平年より高いため、活動も平年より早まると予想しました。
ただ、暖冬の年に必ずカメムシが増えるとした公的な資料は見当たらず、越冬した数は県ごとの調査で確かめるのが確実です。お住まいの県の病害虫防除所が出す「発生予察情報」に、その年の越冬の数と見通しが載っています。ゴキブリなど家の中に入り込む虫について、暖冬との関係を示した公的な資料は見当たりませんでした。暖房の効いた建物の中で冬を越すものもいるため、外の冬の暖かさとの関係は分かりにくいと言えます。
| 備え | 目安・ポイント |
|---|---|
| 家具の固定と置き方 | 家具は壁に固定し、寝室や子ども部屋にはなるべく置かない。倒れても出入り口をふさがない配置に |
| 食料・飲料水の備蓄 | 水は1人1日3リットルを目安に、食料とあわせて最低3日分。大規模な災害に備えるなら1週間分 |
| 非常用持ち出し袋 | 避難のときにすぐ持ち出せる場所に置く |
| 家族の安否確認の方法 | 災害用伝言ダイヤル(171)などの使い方を家族で決めておく |
| 避難場所・避難経路 | 自治体のハザードマップで、近くの避難場所と道順を確かめる |
| 冬の場合 | 停電で暖房が止まることを考え、毛布や防寒着を手の届く場所に |
暖冬かどうかで地震の起きやすさは変わらないので、備えも1年を通して同じです。首相官邸は、家具の置き方、食料・飲料などの備蓄、非常用持ち出しバッグ、家族の安否確認の方法、避難場所や避難経路の確認の5つを家庭での主な対策に挙げています。冬に地震が起きると、停電で暖房が使えなくなることもあるので、寒さへの備えも足しておくと安心です。
A. 気象庁は、地震雲とはどのような雲で、地震とどのような関係で現れるのか、科学的な説明がなされていない状態だとしています。また、日時と場所を特定した地震を予知する情報はデマと考えられる、としています。
A. 2024年1月1日の能登半島地震は暖冬だった2023〜24年の冬に起きましたが、冬の暖かさが原因だという科学的な根拠はありません。当サイトのデータでも、冬以外の季節を含めて比べると、暖冬の年に大きな地震が多いという関係は見られませんでした。
A. 暖冬のほかの影響(野菜の値段・暖房費・桜・インフルエンザ)は暖冬のデメリットとメリットに、雪の量は暖冬なのに大雪になるのはなぜ?にまとめています。
A. 気象庁が2026年9月18日に発表した寒候期予報では、2026年12月〜2027年2月の平均気温は東日本と西日本で「高い」確率が60%です。過去の暖冬の年は暖冬だった年はいつ?で確かめられます。
全国の地震の回数は地震カウンター、8都市の冬の寒さは冬の寒さカウンターで毎日更新しています。
この記事の情報は2026年10月10日時点のものです。主な出典: 気象庁「震度データベース検索」(当サイトで集計)「地震予知について」「寒候期予報」(2026年9月18日)、環境省「令和5年度 クマ被害対策等に関する関係省庁連絡会議」(2023年10月31日)、群馬県(2023年11月22日)、栃木県農業総合研究センター「植物防疫ニュース No.15」(2026年3月19日)、千葉県農林総合研究センター、長野県(2024年2月2日)、首相官邸「災害に対するご家庭での備え」、気象庁の日別の気象データ(当サイトで集計)。この記事は地震の発生を予測するものではありません。