新型コロナで仕事を休むとき、有給休暇を使うかどうかは本人が決めます。厚生労働省は、会社が一方的に有給を取ったことにする扱いはできないとしています。2023年5月8日に5類感染症になってからは、法律で決まった出勤停止もなく、休み方は有給・欠勤・会社の病気休暇・会社の判断による休業のどれかです。この記事では、厚生労働省のQ&Aをもとに休み方ごとの給料と休む日数の目安を整理し、当サイトの感染症ウォッチの週報データから、職場で休む人が増えやすい時期も示します。
| 休み方 | 決めるのは | その日の給料 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ① 有給休暇 | 本人(会社が一方的に使わせることはできない) | ふだんどおり出る | 有給の残り日数が減る |
| ② 欠勤(病欠) | 本人 | 出ないのがふつう | 健康保険の傷病手当金が4日目から出る場合がある |
| ③ 会社の病気休暇 | 会社の就業規則 | 就業規則しだい(有給・無給とも) | 制度があるかは会社ごとに違う。公務員には病気休暇がある |
| ④ 会社の判断による休業 | 会社 | 休業手当(平均賃金の60%以上)が必要になるのが一般的 | 本人が自分から休む場合は対象外 |
新型コロナは2023年5月8日から、季節性インフルエンザと同じ5類感染症になりました。それまでのような法律に基づく外出自粛や就業制限はなく、大人が感染しても法律で決まった「出勤停止」はありません。そのため休むときの扱いは、上の表の4つのどれかになります。
厚生労働省の労働者向けQ&Aでは、感染や発熱で自分から休む場合はふつうの病欠と同じ扱いで、休業手当の対象にはならないとしています。有給はふだんどおり給料が出るかわりに残り日数が減り、欠勤は残り日数が減らないかわりにその日の給料はふつう出ません。
計算例として、2026年度の最低賃金の全国加重平均(時給1,177円)で1日6時間働くパートの人なら、1日分の給料は7,062円です。平日5日を有給で休めば35,310円が出て、欠勤なら原則0円になります。会社の健康保険に入っていれば、欠勤の4日目以降は傷病手当金(給料の約3分の2)を受け取れる場合がありますが、待期の3日分は出ません。有給の残りがあるなら、使うかどうかで手取りが大きく変わります。
有給休暇は、原則として働く人が求めた時季に与えるものです(労働基準法第39条)。厚生労働省の企業向けQ&A(問4-5)は、感染した人や感染が疑われる人を一律に有給扱いにすることについて、「使用者が一方的に取得させることはできません」と答えています。本人が希望していないのに、会社が勝手に有給を使ったことにするのはできないということです。
ただし、本人が「有給で休みたい」と申し出て有給になるのは問題ありません。会社に病気休暇の制度があるときは、就業規則に沿って扱われます。納得できない扱いを受けたときは、各地の労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できます。
| 場面 | 休業手当 |
|---|---|
| コロナにかかったり熱が出たりして、自分から休む | 対象にならない(ふつうの病欠と同じ) |
| 「熱があれば一律に休ませる」など、会社の判断で休ませる | 必要(一般的に) |
| 家族が感染したなど、症状のない人を会社の判断で休ませる | 必要になるのが一般的 |
| 在宅勤務などで休業を避けられるのに、会社が検討しない | 必要になることがある |
会社から「出勤停止」と言われたときに大事なのは、その休みが誰の判断かです。厚生労働省の企業向けQ&A(問4-1)は、発熱などの症状があることだけを理由に一律に休ませる措置は、一般に「使用者の責に帰すべき事由による休業」にあたり、休業手当が必要だとしています。休業手当は平均賃金の60%以上です。
一方で、感染した人や熱がある人が自分から休む場合は、休業手当の対象になりません。家族が感染しただけで症状のない人を会社の判断で休ませる場合も、休業手当が必要になるのが一般的な考え方です。迷ったら会社の人事や労働基準監督署に確かめてください。
| 症状が軽くなった日 | 出勤の目安 | 月曜に発症した場合 |
|---|---|---|
| 1〜4日目 | 6日目から | 次の日曜から |
| 5日目 | 7日目から | 次の月曜から |
| 6日目 | 8日目から | 次の火曜から |
| 7日目 | 9日目から | 次の水曜から |
厚生労働省は5類移行後の目安として、症状が出た日を0日目として5日間は外出を控え、5日目に症状が続いている場合は、熱が下がり、痰やのどの痛みなどが軽くなってから24時間程度たつまで外出を控えることを勧めています。外出を控えるかどうかは個人の判断で、法律の義務ではありません。症状がない人は、検査を受けた日が0日目です。
月曜に発症して水曜に症状が軽くなった場合、出勤の目安は次の日曜からです。土日休みの会社なら、平日5日間を休むことになります。さらに、発症後10日間はウイルスを出している可能性があるため、出勤後もマスクをつける、高齢者など重症化しやすい人との接触を控えるといった配慮が勧められています。会社が就業規則で日数を決めていることもあるので、確かめておきましょう。
5類移行後は、保健所が濃厚接触者を特定することはなくなり、家族に法律上の待機期間はありません。厚生労働省は、家族が感染した場合、感染した人の発症日を0日目として特に5日間は自分の体調に注意し、7日目までは発症する可能性があるとして、外出するときはマスクをつけるなどの配慮を勧めています。症状がなければ出勤できますが、会社に独自のルールがあるかは確かめておきましょう。
5類移行後は、2023年5月8日以降に診断された人について、保健所は療養証明書を発行していません(東京都・広島県などの案内)。医療機関の診断書は有料のことが多く、提出が必要かどうかは会社のルールしだいです。傷病手当金を申請する場合は、申請書の医師の記入欄(療養担当者の意見)が必要になるので、受診したときに相談しておくと手続きがスムーズです。
| 標準報酬月額(毎月の給料の目安) | 1日あたりの傷病手当金 |
|---|---|
| 18万円 | 4,000円 |
| 26万円 | 5,780円 |
| 30万円 | 6,667円 |
有給が残っていない人は、欠勤になると給料が減ります。会社の健康保険に入っていれば、傷病手当金を受け取れる場合があります。厚生労働省のQ&Aによると、仕事を休んだ日が3日続いたあと(待期)、4日目以降の休んだ日が対象で、1日あたり給料の約3分の2が支給されます。自宅で療養して働けなかった期間も含まれます。
5類移行の前は、新型コロナに限って医師の証明を省ける特別な扱いがありましたが、2023年5月8日以降に休み始めた分は、ほかの病気と同じく医師の証明が必要です。なお、仕事が原因で感染したと認められる場合は、労災保険の給付の対象になります(厚生労働省のQ&A)。
国家公務員には、けがや病気で療養が必要なときに使える病気休暇があります(人事院規則15-14)。国家公務員の場合、病気休暇の間の給与は原則として減らず、90日を超えると減額されます。新型コロナのときに設けられていた「出勤が困難な場合の特別休暇」は、5類移行に合わせて2023年5月7日で廃止されました。地方公務員も自治体の条例で病気休暇が決められているので、使えるかどうかは職場の担当者に確かめましょう。
当サイトの週報データで新型コロナの患者数を見ると、5類移行後は夏と冬に2回の山が来ています。2024年は1月29日〜2月4日の週に1医療機関あたり16.15人、7月22〜28日の週に14.58人まで増えました。2025年も1月6〜12日の週(7.08人)と8月18〜24日の週(8.73人)が山でした。
2026年は大きな山が来ておらず、いちばん多かった2月2〜8日の週でも2.71人です。9月28日〜10月4日の週は1.51人でした。ただし、冬の山は例年12〜2月に来ているので、職場で休む人が増える前に、有給の残り日数や会社の病気休暇の決まりを確かめておくと安心です。最新の週の数字と都道府県別の状況は感染症ウォッチで毎週更新しています。
| タイミング | 確かめること |
|---|---|
| 連絡 | 症状が出たら出勤せず会社に連絡。感染が分かったら発症日を伝える |
| 休み方 | 有給・欠勤・病気休暇のどれにするか、就業規則と有給の残り日数で決める(会社が一方的に有給にはできない) |
| 給料 | 会社の判断で休むよう言われたら休業手当を確認。欠勤が4日以上なら傷病手当金を相談 |
| 日数 | 発症日0日目で5日間+症状が軽くなって24時間が目安(早見表)。会社の決まりがあればそれに従う |
| 復帰 | 発症後10日間はマスクなど周りへの配慮を |
息苦しい、水分がとれない、高熱が続くといった症状があるときは、日数の目安にかかわらず医療機関に相談してください。休みの扱いで会社ともめたときは、各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーで無料で相談できます。
A. あります。厚生労働省のQ&Aは、パート・派遣・有期契約の人も、労働基準法上の労働者であれば休業手当や年次有給休暇の対象になるとしています。有給は、6か月以上続けて働き、決められた日の8割以上出勤していれば、働く日数に応じて付与されます。
A. 厚生労働省の目安は、発症日を0日目として5日間、かつ症状が軽くなって24時間程度たつまで外出を控えることです。熱が下がっても、この期間が過ぎるまでは出勤を控えるのが目安です。出勤後も発症後10日間はマスクなどの配慮が勧められています。
A. 有給休暇は理由を問わずに取得できるものです(厚生労働省の労働者向けQ&A)。ただ、新型コロナは職場で広がりやすい病気なので、同僚への感染を防ぐためにも、会社には伝えておくのが望ましいでしょう。
A. どれも大人には法律の出勤停止がなく、有給を使うかは本人が決める点は同じです。休む日数の目安が違い、インフルエンザは「発症後5日・熱が下がって2日」です。くわしくはインフルエンザで有給は使うべき?とノロウイルスはいつまで休む?でまとめています。
最新の流行状況は感染症ウォッチで毎週更新しています。2026年8月の新型コロナの動きは2026年8月の新型コロナ患者数の記事でくわしく見ています。
この記事の情報は2026年10月21日時点のものです。主な出典: 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」「同(労働者の方向け)」(2025年4月25日更新)、厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」、労働基準法、全国健康保険協会「傷病手当金」、人事院規則15-14、国立健康危機管理研究機構「IDWR速報データ」。休みの扱いは会社の就業規則と個別の事情で変わります。この記事は医療や法律の判断をすすめるものではありません。体調に不安があるときは医療機関に、労働条件の問題は労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談してください。