インフルエンザで仕事を休むとき、有給休暇を使うかどうかは本人が決めます。厚生労働省は、会社が一方的に有給を取ったことにする扱いはできないとしています。休み方は、有給・欠勤・会社の病気休暇・会社の判断による休業のどれかで、それぞれ給料の出方が違います。この記事では、厚生労働省の資料をもとに4つの休み方と、休む日数の目安を整理しました。当サイトのインフルエンザウォッチの週報データから、2026年の流行の早さも示しています。
| 休み方 | 決めるのは | その日の給料 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ① 有給休暇 | 本人(会社が一方的に使わせることはできない) | ふだんどおり出る | 有給の残り日数が減る |
| ② 欠勤(病欠) | 本人 | 出ないのがふつう | 健康保険の傷病手当金が4日目から出る場合がある |
| ③ 会社の病気休暇・特別休暇 | 会社の就業規則 | 就業規則しだい(有給・無給とも) | 制度があるかは会社ごとに違う。公務員には病気休暇がある |
| ④ 会社の判断による休業 | 会社 | 休業手当(平均賃金の60%以上)が出る場合がある | 医師の指導による療養の範囲なら、休業手当はいらないとされる |
まず知っておきたいのは、大人がインフルエンザにかかっても、法律で決まった「出勤停止」はないことです。厚生労働省は2009年の新型インフルエンザの際、季節性インフルエンザと似た点が多いことなどから、労働安全衛生規則の「就業禁止」にはあたらないと示しました。学校の出席停止のような決まりは、会社員にはありません。
そのため、休むときの扱いは上の表の4つのどれかになります。有給は、ふだんどおり給料が出るかわりに残り日数が減ります。有給を残しておきたい人は欠勤を選んでもかまいませんが、その日の給料はふつう出ません。どちらがよいかは、有給の残り日数と、会社に病気休暇などの制度があるかで決まります。
有給休暇は、原則として働く人が求めた時季に与えるものです(労働基準法第39条)。厚生労働省は、感染が疑われる人について一律に有給を取ったことにする扱いについて、「使用者が一方的に取得させることはできません」と答えています(2009年の職場Q&A・Q9)。本人が希望していないのに、会社が勝手に有給を使ったことにするのはできないということです。
ただし、本人が「有給で休みたい」と申し出て有給になるのは問題ありません。会社に病気休暇などの制度があるときは、就業規則に沿って扱われます。納得できない扱いを受けたときは、各地の労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できます。
| 場面 | 休業手当 |
|---|---|
| インフルエンザにかかり、医師の指導で休む | いらない(一般的に) |
| 医師の指導の範囲を超えて、会社が休ませる(外出を控える期間が過ぎたあとなど) | 必要 |
| インフルエンザか分からないが熱があり、自分から休む | いらない(ふつうの病欠と同じ) |
| 「37度以上なら一律に休ませる」など、会社の判断で休ませる | 必要 |
| 家族が感染したなど、症状のない人を会社の判断で休ませる | 必要 |
会社から「出勤停止」と言われたときに大事なのは、その休みが誰の判断かです。厚生労働省の職場Q&Aでは、医師の指導で療養する場合は「会社の責任による休業」にあたらず、休業手当はいらないとしています。一方で、会社が自分の判断で休ませる場合は、平均賃金の60%以上の休業手当が必要になるのが一般的な考え方です。
このQ&Aは2009年の新型インフルエンザ(A/H1N1)について出されたものですが、季節性インフルエンザと似た点が多いという前提で書かれています。実際に休業手当が必要かは個別の事情で変わるので、迷ったら会社の人事や労働基準監督署に確かめてください。
熱やせきがある間は、仕事より療養を優先するのが基本です。症状が軽く、会社に在宅勤務の制度があれば、外出を控える期間に在宅で働く選択もあります。厚生労働省のQ&Aは、自宅勤務などで休業を避けられるのに会社が検討しなかった場合、休業手当が必要になることがあるとしています。在宅で働くかは、体調と会社のルールをもとに相談して決めましょう。
| 熱が下がった日 | 出勤の目安 | 月曜に発症した場合 |
|---|---|---|
| 1日目 | 6日目から | 翌週の日曜から |
| 2日目 | 6日目から | 翌週の日曜から |
| 3日目 | 6日目から | 翌週の日曜から |
| 4日目 | 7日目から | 翌週の月曜から |
| 5日目 | 8日目から | 翌週の火曜から |
| 6日目 | 9日目から | 翌週の水曜から |
大人の休む日数に法律の決まりはありませんが、目安としてよく使われるのが学校の出席停止の基準です。「発症した後5日を経過し、かつ、熱が下がった後2日を経過するまで」で、発症した日と熱が下がった日はどちらも0日目と数えます。月曜に発症して水曜に熱が下がった場合、出勤の目安は翌週の日曜からです。土日休みの会社なら、平日5日間を休むことになります。
厚生労働省のQ&Aによると、インフルエンザのウイルスは発症の前日から発症後3〜7日ほど、鼻やのどから出ています。熱が下がってもしばらくはウイルスが出ているため、早めに出勤すると職場で広げてしまうおそれがあります。会社によっては就業規則で日数を決めていることもあるので、確かめておきましょう。
厚生労働省の2009年の職場Q&Aは、会社が治癒証明書や陰性証明書を求めることは望ましくないとしています。インフルエンザが陰性だと証明するのは一般に難しく、医療機関に負担をかけるためです。会社から求められたときは、この考え方を伝えて相談してみてください。
| 標準報酬月額(毎月の給料の目安) | 1日あたりの傷病手当金 | 平日5日休んだ場合の例 |
|---|---|---|
| 17万円 | 3,780円 | 月曜から休み始めたら、月〜水の3日が待期。木曜から、仕事に就けない日(土日も含む)が支給の対象 |
| 25万円 | 5,553円 | |
| 30万円 | 6,667円 |
有給が残っていない人や、パートで有給を使い切った人は、欠勤になると給料が減ります。会社の健康保険に入っていれば、傷病手当金を受け取れる場合があります。協会けんぽによると、仕事を休んだ日が連続3日(待期)続いたあと、4日目以降の休んだ日が対象で、1日あたり給料の約3分の2が支給されます。待期の3日には、有給の日や土日も含まれます。
インフルエンザは1週間ほどで治ることが多いため、支給の対象になるのは数日分にとどまります。それでも、有給がない人にとっては収入の助けになります。会社の担当者に申請の方法を聞いてみてください。なお、市町村などの国民健康保険では、傷病手当金は法律で義務づけられていない給付です。
国家公務員には、けがや病気で療養が必要なときに使える病気休暇があります(人事院規則15-14)。国家公務員の場合、病気休暇の間の給与は原則として減らず、90日を超えると減額されます。地方公務員も、自治体ごとの条例で同じような病気休暇が決められています。インフルエンザで休むときに病気休暇を使えるかは、職場の担当者に確かめましょう。
職場でインフルエンザによる休みが増える時期は、年によって大きく違います。当サイトの週報データで、全国の1医療機関あたりの患者数が注意報の目安の10人を初めて超えた週をシーズンごとに並べました。2016〜2019年のシーズンは12月上旬〜1月上旬だったのに対し、2023-24シーズンは10月9〜15日の週、2025-26シーズンは10月27日〜11月2日の週と、早まる年が出ています。
2026年は、さらに早い動きです。全国の患者数は8月17〜23日の週に1医療機関あたり1.11人と、流行入りの目安の1人を超えました。9月14〜20日の週には8.48人(全国の報告数31,428人)となり、2025年の同じ週(0.80人)の約10倍です。
日テレNEWS「【インフルエンザ】早くも急増 クリニックで患者数「通常の30倍」 背景に“記録的長雨”影響も」(2026年9月公開)。2026年9月にインフルエンザの患者が早くも増えていることを伝えるニュースです。
| シーズン | 10人を初めて超えた週 | ピークの患者数 | 10人以上の週の数 |
|---|---|---|---|
| 2016-17 | 2017年1月2〜8日 | 39.4人 | 11週 |
| 2017-18 | 2017年12月18〜24日 | 54.3人 | 12週 |
| 2018-19 | 2018年12月24〜30日 | 57.1人 | 8週 |
| 2023-24 | 2023年10月9〜15日 | 33.7人 | 25週 |
| 2024-25 | 2024年12月9〜15日 | 64.4人 | 7週 |
| 2025-26 | 2025年10月27日〜11月2日 | 51.1人 | 20週 |
10人以上の週が続いた長さを見ると、早く始まったシーズンほど長引く傾向がありました。2023-24シーズンは25週、2025-26シーズンは20週と、半年近く流行が続いています。家族や同僚の誰かが休む期間が長くなるので、有給の残り日数や、会社の病気休暇の制度を早めに確かめておくと安心です。
高熱が続く、息苦しい、水分がとれないといった症状があるときは、日数の目安にかかわらず医療機関に相談してください。休みの扱いで会社ともめたときは、各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーで無料で相談できます。
A. 有給の使い道は本人の自由で、理由を言わなくても有給は取れるとされています(最高裁判所の判決・1973年)。ただ、インフルエンザは職場で広がりやすい病気です。同僚の感染を防ぐ対策のためにも、会社には伝えておくのが望ましいでしょう。
A. 熱が下がっても、しばらくはウイルスが出ています(厚生労働省)。発症後5日を過ぎ、かつ熱が下がってから2日を過ぎるまでは、出勤を控えるのが目安です。
A. 自分に症状がなければ、法律上は休む必要はありません。厚生労働省の2009年のQ&Aは、症状のない人を会社の判断で休ませる場合は、一般的に休業手当が必要としています。看病で休む場合は、有給などを使うことになります。
A. 6か月以上続けて働き、決められた日の8割以上出勤していれば、パートやアルバイトでも有給休暇があります(労働基準法第39条)。日数は働く日数に応じて決まります。アルバイトの休み方や連絡の例文はインフルエンザでバイトを休むには?でまとめています。
A. 病気休暇や特別休暇は、法律で決まった休みではなく、会社が任意で設ける制度だからです。厚生労働省は、会社の病気休暇で対応する場合は就業規則に照らして扱うよう求めています。あるかどうか、有給か無給かは就業規則で確かめましょう。
最新の流行状況と都道府県別の患者数は、インフルエンザウォッチで毎週更新しています。2026年の早い流行については2026年9月上旬の記事でもくわしく見ています。
この記事の情報は2026年10月3日時点のものです。主な出典: 厚生労働省「新型インフルエンザ(A/H1N1)に関する事業者・職場のQ&A」(2009年10月30日)、厚生労働省「令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」、労働基準法、全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」、人事院規則15-14、国立健康危機管理研究機構「IDWR速報データ」。休みの扱いは会社の就業規則と個別の事情で変わります。この記事は医療や法律の判断をすすめるものではありません。体調に不安があるときは医療機関に、労働条件の問題は労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談してください。