灯油と軽油は、どちらも原油からつくられる燃料ですが、使い道と色、税金が違います。灯油はストーブなどの暖房用で無色透明、軽油はディーゼル車などの燃料で淡い黄色です。火のつきやすさを示す引火点は、灯油が40℃以上、軽油が45℃以上で、ガソリン(−40℃以下)よりずっと高くなっています。この記事では、消防局や石油会社の資料をもとに4つの燃料を比べ、当サイトのガソリン・軽油・灯油の価格データで値段の差の移り変わりも調べました。
| 項目 | 灯油 | 軽油 | ガソリン | A重油 |
|---|---|---|---|---|
| 主な使い道 | ストーブ・給湯器 | ディーゼル車・トラック | ガソリン車・バイク | ボイラー・船・農業用 |
| 色 | 無色透明 | 淡黄色 | オレンジ色 | 淡褐色など |
| 引火点 | 40℃以上 | 45℃以上 | −40℃以下 | 60℃以上 |
| 消防法の区分 | 第2石油類 | 第2石油類 | 第1石油類 | 第3石油類 |
| 指定数量 | 1,000L | 1,000L | 200L | 2,000L |
| 密度(15℃) | 0.76〜0.83 | 0.80〜0.86 | — | 0.82〜0.90 |
| 1Lの値段 | 約141円 | 159.5円 | 170.2円 | — |
いちばん大きな違いは使い道です。灯油は石油ストーブやファンヒーター、給湯器の燃料で、軽油はトラックやバスなどディーゼルエンジンの燃料です。見た目も違い、灯油は無色透明、軽油は淡い黄色、ガソリンはオレンジ色をしています(札幌市消防局)。
燃えやすさは、灯油と軽油でほぼ同じです。消防法ではどちらも「第2石油類」に分けられ、家に置ける量の目安になる指定数量も同じ1,000Lです。これに対してガソリンは「第1石油類」で、指定数量は5分の1の200Lと厳しく決められています。
灯油は、原油を加熱して成分ごとに分ける「蒸留」でとり出される石油製品のひとつです。ENEOSの安全データシートでは、灯油の沸点の範囲は140〜310℃、軽油は140〜400℃とされています。軽油のほうが、より重い成分まで含んでいます。
重油は、灯油や軽油よりさらに重い成分を含む燃料で、工場のボイラーや船、ビニールハウスの暖房などに使われます。家庭向けに売られることはほとんどありません。A重油の引火点は60℃以上(ENEOSの安全データシート)で、消防法の区分は「第3石油類」、指定数量は2,000Lです。
「白灯油」は、家庭の暖房に使う灯油のことです。JIS(日本産業規格)の「1号灯油」が無色透明なので、こう呼ばれています。ストーブなどのメーカーは「JIS1号灯油を必ず使う」よう案内しています(シャープ)。ガソリンスタンドなどで家庭用として売られている灯油は、ふつうこの1号灯油です。
| ことば | 意味 | 灯油の場合 |
|---|---|---|
| 引火点 | 火を近づけたときに、燃え始める最も低い温度 | 40℃以上(ガソリンは−40℃以下) |
| 発火点 (自然発火点) | 火を近づけなくても、熱だけで燃え出す温度 | 約240℃(ENEOSの安全データシート) |
ガソリンの引火点は−40℃以下で、真冬の屋外でも小さな火花で燃え出します。蒸気は空気より3〜4倍重く、低い場所にたまりやすい性質もあります(札幌市消防局)。灯油の引火点は40℃以上なので、ふだんの気温でマッチを近づけても、すぐには燃えません。
ただし、灯油も安全なわけではありません。札幌市消防局は、加熱などで灯油の温度が引火点以上になると、引火の危険はガソリンとほぼ同じになるとしています。夏に熱のこもる物置に置くのは危険です。布にしみこんだ灯油も燃えやすくなります。
灯油用のポリ容器にガソリンを入れることは、消防法令で禁止されています(大阪府)。ガソリンは金属製の携行缶に入れる決まりです。ガソリンを灯油と間違えてストーブに入れると、火災の原因になります。
NITE official「【nite-ps】 石油ストーブ「1.ガソリンの誤給油」」(2017年9月公開)。灯油と間違えてガソリンを石油ストーブに入れたときの再現映像です。
| 燃料 | 色 | 見分けるときのポイント |
|---|---|---|
| 灯油 | 無色透明 | 少しでも色がついていたら、ほかの油が混ざったか変質している |
| 軽油 | 淡黄色 | 淡い黄色に着色されている |
| ガソリン | オレンジ色 | 自動車用ガソリンはオレンジ色に着色されている |
灯油と軽油は、色で見分けられます。灯油は無色透明、軽油は淡い黄色に着色されています。透明なガラスのコップに入れ、後ろに白い紙をあてると分かりやすくなります。灯油に色がついて見えたら、ほかの油が混ざっているか、古くなって変質している可能性があります。
においだけで見分けるのはおすすめしません。暖房器具に灯油以外の油(軽油・ガソリンなど)や水が混ざった「不純灯油」を入れると、異常燃焼や故障の原因になります(千葉市消費生活センター)。迷ったら使わず、買った店に相談してください。
| 車の種類 | 灯油を入れると |
|---|---|
| ディーゼル車(軽油で走る) | エンジンは動くことがあるが、灯油を燃料にするのは軽油引取税の脱税にあたる「不正軽油」で違法。エンジンや排ガス浄化装置の不調の原因にも |
| ガソリン車 | エンジンの不調や故障の原因になる |
灯油はディーゼルエンジンで燃えてしまうことがありますが、車の燃料に使うのは違法です。軽油には都道府県の税金「軽油引取税」がかかり、灯油にはかかりません。灯油やA重油を軽油に混ぜたり、そのまま車に使ったりすることは「不正軽油」として、地方税法で罰則が決められています。
灯油とA重油には「クマリン」という識別剤が入っていて、軽油に混ぜると検査ですぐに分かるようになっています。都道府県は道路わきでの抜き取り検査などで取り締まっています。ガソリン車に灯油を入れると、エンジンの不調や故障の原因になります。
当サイトは、資源エネルギー庁の調査から1990年以降の燃料の値段を集めています。軽油と灯油の1Lあたりの差を年平均で見ると、1994〜2025年は32〜39円で、30年以上ほとんど変わりませんでした。ところが2026年4月からは18円台になり、ほぼ半分に縮んでいます。
| 月 | 灯油 | 軽油 | レギュラー | 軽油−灯油 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年9月 | 123.6円 | 155.0円 | 174.9円 | 31.4円 |
| 2025年12月 | 122.2円 | 146.3円 | 161.6円 | 24.1円 |
| 2026年3月 | 137.9円 | 160.0円 | 171.8円 | 22.1円 |
| 2026年4月 | 139.5円 | 157.8円 | 168.5円 | 18.3円 |
| 2026年9月 | 140.9円 | 159.4円 | 170.0円 | 18.5円 |
差が縮んだ理由は税金です。軽油引取税は1Lあたり32.1円でしたが、上乗せされていた17.1円(いわゆる暫定税率)が2026年4月1日に廃止され、15円になりました(愛知県・群馬県の案内)。それより前の2025年11月からは、軽油の補助が暫定税率と同じ17.1円まで段階的に増やされていて、差はその時点から縮み始めていました。
2026年9月28日調査では、灯油が1Lあたり約141円、軽油が159.5円で、差は約18.5円です。軽油で50Lを給油する場合、灯油の値段との差は約925円になります。ガソリンと灯油の差も、2025年12月31日のガソリンの暫定税率廃止で、約50〜75円から約30円に縮みました。
家庭でよく扱うのは灯油ですが、草刈り機や発電機用にガソリンを置く家もあります。燃料ごとに容器と置き場所を分け、ラベルで中身が分かるようにしておくと、入れ間違いを防げます。届け出が必要な量や手続きは市町村によって違うので、地元の消防署で確かめてください。
A. ほぼ同じです。引火点は灯油が40℃以上、軽油が45℃以上で、消防法ではどちらも第2石油類です。どちらもガソリン(引火点−40℃以下)よりはずっと火がつきにくい燃料です。
A. すぐに使うのをやめてください。灯油以外の油が混ざった灯油は「不純灯油」とされ、異常燃焼や故障の原因になります(千葉市消費生活センター)。抜き取りや点検は、販売店やメーカーに相談してください。
A. ENEOSの安全データシートでは、灯油の密度は15℃で1cm3あたり0.76〜0.83gです。18Lに直すと約13.7〜14.9kgになります。軽油は0.80〜0.86gなので、同じ18Lなら灯油よりやや重くなります。
A. 大きな理由は税金です。軽油には1Lあたり15円の軽油引取税(2026年4月1日から)がかかり、灯油にはかかりません。2026年3月までは32.1円だったため、差はもっと大きくなっていました。
A. 資源エネルギー庁が毎週水曜に全国と都道府県の平均を公表しています。当サイトの灯油価格ウォッチと都道府県別ガソリン・灯油価格で、最新の値段と1年前との差を見られます。
燃料の最新の値段はガソリン・軽油・灯油の価格データ、灯油の値段の移り変わりは灯油の価格推移の記事で確かめられます。
この記事の情報は2026年10月2日時点のものです。主な出典: 札幌市消防局「ガソリンや灯油、軽油の取扱いに注意しましょう」、千葉市消防局「備えた危険物は点検を実施しましょう」、大阪府「危険物の安全対策について」、ENEOS「安全データシート」(灯油・軽油・A重油)、シャープ「安全な使い方アドバイス(石油暖房機)」、千葉市「消費者被害注意報 No.68」、愛知県・群馬県の軽油引取税の案内、各都道府県の不正軽油防止の案内、資源エネルギー庁「石油製品価格調査」「燃料油価格に関する支援策の推移」。燃料の取り扱いは、機器の取扱説明書と地元の消防署の案内を優先してください。