卵の価格は、1950年から2022年ごろまで大きくは上がらず、2023年の「エッグショック」から一段高くなって、2026年は過去最高の水準です。東京都区部の店頭価格(1kgあたり)は、1950〜1972年は220〜250円ほどでしたが、2026年(1〜9月の平均)は476円でした。この記事では、総務省の小売物価統計と日本養鶏協会の統計、当サイトの食品価格ウォッチ(8都市)をもとに、卵の価格の76年分の推移と、10年前・30年前・昭和との比較、卸売の相場の見方を整理します。
グラフの青い線が、東京都区部の店頭の値段(1kgあたり)です。1950〜1972年は1kgあたり220〜250円ほどで、20年以上ほとんど変わりませんでした。石油危機で物価全体が急に上がった1973〜1975年に、1kgあたり263円から367円まで上がっています。
その後の1975〜2022年は、1kgあたり246〜415円の間を上下し、47年たってもほぼ同じ水準でした。流れが変わったのは2023年です。鳥インフルエンザで卵が品薄になり、店頭価格は1kgあたり443円に上がりました。2025年は459円、2026年(1〜9月)は476円と、1950年以降で最も高くなっています。
10個入り1パック(1個67gで換算)に直すと、2026年は約319円です。オレンジの線の卸売価格は、2026年(1〜9月)が1kgあたり309円でした。卸売の年平均で最も高かったのは1981年の334円で、2025年の324円はそれに次ぐ高さです。
| 年 | 店頭 1kgあたり | 10個入りに換算 | 卸売 1kgあたり | 2026年の店頭は |
|---|---|---|---|---|
| 1960年(昭和35年) | 229円 | 約153円 | - | 2.08倍 |
| 1975年(昭和50年) | 367円 | 約246円 | 303円 | 1.30倍 |
| 1996年(30年前) | 305円 | 約204円 | 201円 | 1.56倍 |
| 2016年(10年前) | 362円 | 約242円 | 205円 | 1.32倍 |
| 2021年(5年前) | 341円 | 約228円 | 217円 | 1.40倍 |
| 2025年 | 459円 | 約308円 | 324円 | 1.04倍 |
| 2026年(1〜9月) | 476円 | 約319円 | 309円 | - |
東京都区部の卵の店頭価格を2026年と比べると、10年前(2016年)の1.32倍、30年前(1996年)の1.56倍です。10個入りのパックに直すと、10年前の約242円が約319円になり、1パックで約77円の差です。毎日1個食べる人なら、1か月(30個)で約230円多くかかる計算です。
昭和35年(1960年)と比べても2.08倍で、66年たって2倍ほどにとどまっています。卸売価格は、昭和50年(1975年)の303円に対し2026年は309円と、ほとんど同じです。
| 品目 | 1965年 | 2010年 | 何倍になったか |
|---|---|---|---|
| 牛乳(配達・瓶) | 20円(180mL) | 114円(200mL) | 5.1倍 |
| 食パン(1kg) | 94.9円 | 438円 | 4.6倍 |
| 卵(1kg) | 219円 | 約327円 | 1.49倍 |
農林水産省は、卵は60年前からほとんど価格が変わっていなかったため「物価の優等生」と呼ばれていた、と説明しています。総務省の同じ統計で1965年から2010年までの45年を比べると、牛乳は5.1倍、食パンは4.6倍になったのに対し、卵は1.49倍でした。ほかの食品が4〜5倍になる間、卵の値段はほとんど動かなかったことが分かります。
| 年 | 飼っている戸数 | 1戸あたりの羽数 |
|---|---|---|
| 1965年 | 322万7,000戸 | 27羽 |
| 1990年 | 8万6,500戸 | 1,583羽 |
| 2016年 | 2,440戸 | 5万5,200羽 |
| 2026年 | 1,510戸 | 9万1,800羽 |
背景のひとつが、養鶏の大規模化です。農林水産省の畜産統計では、1965年に卵を産む鶏を飼う家は約323万戸あり、1戸あたりは27羽でした。2026年は1,510戸に減り、1戸あたり約9万2,000羽を飼っています。10万羽以上を飼う大きな農場が、鶏の数の8割以上を占めるまでになりました。
ただし2020年代に入ると、鶏のエサの多くを輸入に頼っていることから、円安やウクライナ情勢でエサ代が上がり、電気代や燃料代も上がりました。さらに2022年度は鳥インフルエンザで、卵を産む鶏の1割強が処分されています。こうして「優等生」と呼ばれた値段の安定は崩れ、2023年以降の値上がりにつながりました。
SBSnews6「「まあしょうがないかな」タマゴが高い…かつての「物価の優等生」いまや「物価高の象徴」に=静岡」(2026年2月公開)。かつて「物価の優等生」と呼ばれた卵の値上がりを伝える静岡のニュースです。
| 都市 | 2016年 | 2022年 | 2023年 | 2025年 | 2026年 (1〜8月) | 10年で |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 札幌 | 192円 | 201円 | 277円 | 294円 | 325円 | 1.69倍 |
| 福岡 | 223円 | 228円 | 308円 | 315円 | 337円 | 1.51倍 |
| 広島 | 223円 | 233円 | 309円 | 319円 | 336円 | 1.51倍 |
| 仙台 | 237円 | 240円 | 294円 | 315円 | 323円 | 1.36倍 |
| 名古屋 | 235円 | 244円 | 306円 | 313円 | 320円 | 1.36倍 |
| 那覇 | 242円 | 233円 | 332円 | 303円 | 321円 | 1.32倍 |
| 東京 | 243円 | 239円 | 297円 | 308円 | 318円 | 1.31倍 |
| 大阪 | 249円 | 246円 | 296円 | 304円 | 323円 | 1.30倍 |
当サイトが集めている8都市の卵1パックの値段を10年前(2016年)と比べると、どの都市も約1.3倍以上になりました。上がり方が最も大きいのは札幌市で、192円から325円へ1.69倍です。10年前は8都市で最も安かった札幌が、2026年は東京より高くなっています。福岡市と広島市も1.51倍でした。
8都市とも、2022年までは200円台前半〜半ばで、10年近く大きく変わっていません。2023年に一気に50〜100円上がり、その後も下がりきらないまま、2026年は1パック318〜337円になっています。消費者物価指数で見ても、全国の卵は10年で53.9%、5年で41.2%上がりました(2026年8月)。
あわせて見たい:卵1パックの値段はいくら?2026年の平均価格と1個あたり、8都市の差
| 月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 円/kg | 310 | 313 | 323 | 316 | 315 | 308 | 303 | 292 | 298 |
ニュースで「卵の相場」と言うときは、多くの場合、JA全農たまごが営業日ごとに発表する卸売価格(東京・Mサイズの基準値)を指します。単位は1kgあたりの円で、消費税を含みません。スーパーなどが仕入れるときの目安になる値段で、店頭の値段とは別のものです。
2026年の卸売価格は、3月の323円から8月の292円まで少しずつ下がり、10月9日は315円でした。2026年4〜9月は、どの月も前年の同じ月より5〜9%低くなっています。
2026年9月の東京都区部では、店頭の値段が1kgあたり約484円、卸売が298円で、店頭は卸売の約1.6倍でした。店頭の値段には、パック詰めや運ぶ費用、お店の取り分、消費税が加わるためです。卸売が下がっても、店頭の値段がすぐに同じだけ下がるとは限りません。
また卸売価格には季節の型があり、日本養鶏協会の資料では「夏場の低需要期に向けて低下し、年末の需要期に向けて上昇する傾向」とされています。2016〜2025年の10年の平均では、12月が1kgあたり245円で最も高く、年明けの1月が182円で最も低くなっていました。
A. 東京都区部の店頭価格は、1960年(昭和35年)が1kgあたり229円でした。1個67gで計算すると1個約15円、10個で約153円です。1975年(昭和50年)は1kg367円で、1個約25円でした。
A. 東京都区部の店頭価格は、2026年(1〜9月の平均)が1kgあたり476円で、1950年以降の年平均で最も高い水準です。卸売価格の年平均では1981年の334円が最も高く、2025年の324円がそれに次ぎます。
A. 2022〜23年の冬に鳥インフルエンザが広がり、卵を産む鶏の1割強が処分されたことで、卵が品薄になり値段が大きく上がったことを指します。卸売価格(東京M)は2023年4〜5月に1kgあたり350円となり、1989年以降の月平均で最も高くなりました。
A. 値段の予想はできません。2026年の卸売価格は前年より低めに動いていますが、店頭の値段は高いままです。鳥インフルエンザは例年秋から冬に発生が多く、発生の状況によって値段が大きく動くことがあります。下がる材料・上がる材料は卵の価格はいつ下がる?で整理しています。
8都市の卵の毎月の値段は食品価格ウォッチで、ほかの品目と比べた値上がりは値上がり品目ランキングで確かめられます。
この記事の情報は2026年10月11日時点のものです。主な出典: 総務省統計局「主要品目の東京都区部小売価格」「小売物価統計調査」「消費者物価指数」、日本養鶏協会「鶏卵の需給及び価格の動向」「鶏卵価格の年次別月別推移」「成鶏羽数」、農林水産省「畜産統計」「鶏卵をめぐる情勢」(日本養鶏協会掲載)、農林水産省「フェアプライスプロジェクト(卵)」、JA全農たまご「たまご相場」。価格の予想や購入をすすめるものではありません。