卵の価格がいつ下がるかは、誰にも予想できません。ただ2026年は、卸売価格が前年の同じ月より5〜9%低く動いている一方で、店頭の値段は全国平均で1パック309円(2026年9月・農林水産省)と高止まりしています。この記事では、前回2023年の「エッグショック」で卸売と店頭がどう下がったかを当サイトの食品価格ウォッチと日本養鶏協会の統計で確かめ、卵が高い理由と、下がる材料・上がる材料を整理します。
| 下がる材料 | 上がる材料 |
|---|---|
| 卸売価格が2026年4〜9月、前年の同じ月より5〜9%低い | 鳥インフルエンザは例年10〜11月に最初の発生がある |
| 卵を産む鶏の数が2026年2月に約1億3,860万羽と、2024年より6.8%多い | 鶏のエサの値段が2026年7〜9月期に1トンあたり3,700円上がった(全畜種の平均) |
| 2026年秋の鳥インフルエンザの発生は、9月16日時点で確認されていない | 卵の値段は例年、年末に向けて上がりやすい |
2026年の卵には、値段が下がる材料と上がる材料の両方があります。下がる材料は、卵を産む鶏の数が鳥インフルエンザの前の水準まで戻ってきたことです。農林水産省の畜産統計では、2026年2月1日の卵を産む鶏(成鶏めす)は約1億3,860万羽で、2024年より6.8%多くなりました。卸売価格(JA全農たまご東京M)も、2026年4〜9月はどの月も前年より5〜9%低くなっています。
一方で上がる材料は、エサ代と鳥インフルエンザです。日本養鶏協会は2026年3月、中東の情勢で海上運賃が上がり、エサ代が値上がりすれば秋以降に卵の値段が上がる可能性がある、という見方を示したと報じられました。JA全農は2026年7〜9月期の配合飼料(鶏や豚などのエサ)の値段を、全畜種の平均で1トンあたり3,700円上げています。
2022〜23年の冬の鳥インフルエンザで卵が品薄になり、卸売価格(東京M)は2023年4・5月に1kgあたり350円まで上がりました。その後は7月から下がり始め、2024年1月には180円と、最高値からほぼ半分(49%安)になっています。
ところが東京都区部の店頭の値段は、2023年6月の311円(10個入り)が最高で、その後も2024年1月まで306〜310円が続きました。下がり始めたのは2024年2月で、卸売が下がり始めてから半年以上あとです。最も下がった2024年9月でも274円で、最高値から37円(12%)安くなっただけでした。
2026年も同じような形になっています。卸売価格は2026年2月から前年を下回っていますが、東京都区部の店頭は2026年7月に322円、8月に321円と、2018年以降で最も高い水準が続いています。
| シーズン | 発生した事例 | 処分の対象になった鳥 |
|---|---|---|
| 2020〜21年 | 52事例 | 約987万羽 |
| 2021〜22年 | 25事例 | 約189万羽 |
| 2022〜23年 | 84事例 | 約1,771万羽(過去最多) |
| 2023〜24年 | 11事例 | 約86万羽 |
| 2024〜25年 | 51事例 | 約932万羽 |
| 2025〜26年 | 24事例 | 約576万羽 |
卵が高い一番の理由は、鳥インフルエンザです。鳥インフルエンザが出た農場では鶏をすべて処分するため、発生が多い冬は卵の数が減ります。2022〜23年の冬は約1,771万羽が処分の対象になり、卵を産む鶏では飼っている数の1割強が処分されました。その後も2024〜25年に約932万羽、2025〜26年に約576万羽と、毎冬のように大きな発生が続いています。
処分のあと鶏を入れ直しても、すぐには元に戻りません。2025〜26年に発生した卵の農場17か所のうち、2026年6月1日までに再開できたのは7か所でした。
もうひとつの理由が、卵を作る費用の上昇です。農林水産省によると、鶏のエサの多くは輸入で、円安やウクライナ情勢でエサ代が上がり、鶏舎や卵のパック詰めに使う電気代・燃料代も上がりました。日本養鶏協会は2026年3月、エサ代が卵の値段に最も大きく影響すると述べたと報じられています。
卸売価格が上がり始めたのは2022年秋で、9月の223円から12月には284円になりました。東京都区部の店頭の値段は2023年2〜5月に一気に上がり、2022年前半の230円台から、2023年6月には311円になっています。これが「エッグショック」と呼ばれた値上がりです。一度下がったあと、2025年の春から再び上がりました。
| 統計 | 最高値 |
|---|---|
| 全国の店頭(農林水産省・10個入り) | 2025年12月に308円で2003年以降の最高。2026年9月は309円 |
| 東京都区部の店頭(総務省・10個入り) | 2026年7月の322円(2018年以降の最高) |
| 卸売(JA全農たまご東京M・1kg) | 2023年4・5月の350円(1989年以降の月平均で最高) |
店頭の卵の値段は、2025年12月から最高値の水準が続いています。農林水産省の全国調査では2025年12月に308円となり、2003年に調査を始めてから最も高くなりました。2026年9月も309円で、平年より19%高い水準です。
TBS NEWS DIG Powered by JNN「卵価格 過去最高値に並ぶ 1パック308円 平年より26%高い 鳥インフルエンザの影響…|TBS NEWS DIG」(2026年2月公開)。卵1パックの平均価格が308円と、過去最高値に並んだことを伝えるニュースです。
卵の値段が「下がらない」「戻らない」と言われるのは、鳥インフルエンザが毎冬のように続いていることに加えて、エサ代や電気代など卵を作る費用そのものが上がっているためです。日本養鶏協会は2025年12月の時点で、生産量が戻り値段も落ち着く見通しとしつつ、資材やエサ代の高騰、鳥インフルエンザの広がりで下がりきらない可能性もある、と説明したと報じられています。
東京都区部の店頭の値段は、2021年まで1パック230円前後でした。2024年に最も下がった月でも274円で、その水準までは戻っていません。
| 月 | 1月 | 3月 | 5月 | 8月 | 10月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 卸売(円/kg) | 182 | 230 | 230 | 206 | 232 | 245 |
| 東京の店頭(円/10個) | 245 | 251 | 255 | 251 | 254 | 256 |
卵の卸売価格には季節の型があります。2016〜2025年の10年の平均では、年末の12月が1kgあたり245円で最も高く、年明けの1月が182円で最も低くなりました。夏の8月も206円と低めで、日本養鶏協会も「夏場の低需要期に向けて低下し、年末の需要期に向けて上昇する傾向」としています。
ただし店頭の値段の季節の差は小さく、東京都区部の10年の平均では、最も安い1月(245円)と最も高い12月(256円)の差は11円ほどでした。時期を待つより、特売の日や、1個あたりの値段で比べて買うほうが差は大きくなりやすいといえます。
あわせて見たい:卵の価格推移をグラフで見る|昭和・30年前・10年前と2026年の比較
| 月 | 12個の値段 |
|---|---|
| 2024年12月 | 4.15ドル |
| 2025年3月 | 6.23ドル(最高) |
| 2025年9月 | 3.49ドル |
| 2026年8月 | 2.27ドル |
アメリカでも鳥インフルエンザで卵が大きく値上がりし、労働統計局の調べでは2025年3月に12個で6.23ドルと最高になりました。その後は鶏の数が戻るにつれて下がり、2026年8月は2.27ドルと、最高だった月より約6割安くなっています。供給が戻ると値段が大きく下がった例ですが、日本とは卵の流通や値段の決まり方が違うため、そのまま当てはまるとは限りません。
A. 予想はできません。2023年のエッグショックのあと、東京都区部の店頭の値段は最も下がった月でも274円で、2021年まで(230円前後)の水準には戻りませんでした。エサ代などの費用も2021年より高くなっています。
A. 卸売価格は例年、年末に向けて上がりやすく、2016〜2025年の平均では12月が最も高い月でした。ただし店頭の値段の季節の差は小さく、東京都区部の平均では1月と12月の差は11円ほどです。
A. 家きんでの最初の発生は、2022〜23年が10月28日、2024〜25年が10月17日、2025〜26年が10月22日と、例年10〜11月です。発生は春まで続くことがあり、2025〜26年は2026年4月22日が最後でした。
A. 店頭の値段には、パック詰めや運ぶ費用、お店の取り分などが含まれ、卸売の値動きがそのまま伝わるわけではないためです。前回のエッグショックでは、卸売は最高値からほぼ半分になったのに、東京都区部の店頭は12%しか下がりませんでした。
8都市の卵の毎月の値段は食品価格ウォッチで、ほかの品目と比べた値上がりは値上がり品目ランキングで確かめられます。1パックの平均価格と1個あたりは卵1パックの値段の記事にまとめています。
この記事の情報は2026年10月11日時点のものです。主な出典: 農林水産省「食品価格動向調査(食肉・鶏卵)」「畜産統計」「鳥インフルエンザに関する情報」「昨今の高病原性鳥インフルエンザを踏まえた今後の対応について」(2026年9月)「フェアプライスプロジェクト(卵)」、総務省統計局「小売物価統計調査」(当サイトで集計)、日本養鶏協会「鶏卵価格の年次別月別推移」「鶏卵をめぐる情勢」、JA全農の配合飼料価格の発表(報道)、アメリカ労働統計局、共同通信・TBSなどの報道。価格の予想や購入をすすめるものではありません。