資源エネルギー庁の調査によると、家庭の待機電力(使っていなくてもコンセントにつながっているだけで使う電気)は、1世帯で年228kWh、電力消費の5.1%でした。目安単価31円/kWhで計算すると年約7,068円、月約589円です。ただし、冷蔵庫や給湯器、ルーターのように抜けないものも多く、コンセントを抜いて減らせるのはその一部です。この記事では、待機電力の金額と、抜いてよいもの・抜かないほうがよいもの、冬の電気代が何に使われているかを、4人世帯の冬の請求を円に直してまとめます。
| 世帯 | 毎月の電気代(2025年) | 待機電力(月約589円)の割合 |
|---|---|---|
| 一人暮らし | 7,337円 | 約8.0% |
| 2人 | 12,144円 | 約4.9% |
| 4人 | 13,928円 | 約4.2% |
| 二人以上の平均 | 13,218円 | 約4.5% |
年228kWhの待機電力は、ならすと家じゅうで常に約26Wの電気を使い続けている計算です。目安単価31円で年約7,068円、東京電力の従量電灯B(2026年11月の単価)の2段目(120〜300kWhの部分)の単価(燃料費調整・再エネ賦課金を含めて1kWhあたり約35.3円)なら、年約8,048円になります。
ただし、この全部をコンセントを抜いて減らせるわけではありません。資源エネルギー庁の冬の資料では、待機電力は冬の1日の電気使用量の5.5%でした。抜いても困らない家電だけを抜いて待機電力を半分にできたとしても、4人世帯の冬の請求で月約440円の差です。
充電器をコンセントに挿しっぱなしにすると、スマホをつないでいなくても、わずかな電気を使う製品があります。待機時の電力は製品によって違うので、計算式で目安を見ておきましょう。1年中挿しっぱなしにした場合、0.1Wなら年約27円、0.5Wなら年約136円です(31円/kWhで計算)。
| 待機時の電力 | 1年の電気使用量 | 1年の電気代 |
|---|---|---|
| 0.1W | 約0.9kWh | 約27円 |
| 0.5W | 約4.4kWh | 約136円 |
| 1W | 約8.8kWh | 約272円 |
| 5W | 約43.8kWh | 約1,358円 |
電気代より気をつけたいのは、火災です。挿しっぱなしのプラグとコンセントの間にほこりや湿気がたまると、電気が流れて発火する「トラッキング現象」が起きることがあります。製品評価技術基盤機構(NITE)は、充電器で起きたトラッキング現象を再現した映像を公開しています。
NITE official『【事故再現】 充電器「1.トラッキング現象で発火」』(2017年8月公開)。充電器で起きるトラッキング現象による発火を、NITE(製品評価技術基盤機構)が再現した映像です。
| 家電 | 抜いてよい? | 理由 |
|---|---|---|
| 冷蔵庫 | 抜かない | 中の食品が傷む |
| ガス給湯器 | 冬は抜かない | 凍結予防の安全装置が働かなくなる(ノーリツ) |
| ルーター・電話 | 抜かない | ネットや電話がつながらなくなる |
| 録画機 | 使い方しだい | 抜くと予約録画ができない |
| 温水洗浄便座 | オフ機能がなければ抜いてよい | 資源エネルギー庁が、機能がない場合は使わないときにプラグを抜くよう案内 |
| 使っていない部屋の家電・充電器 | 抜いてよい | 待機電力と、ほこりによる火災を防げる |
| 季節外の家電(夏の扇風機など) | 抜いてよい | 長い間使わないもの |
コンセントを抜いて効果が出やすいのは、使っていない部屋の家電や、季節外の家電です。抜き差しが面倒なら、スイッチ付きの電源タップでまとめて切る方法もあります。反対に、冷蔵庫や冬の給湯器、ルーターのように、電気が止まると困る家電は抜かないでください。
給湯器メーカーのノーリツは、外の気温が下がると凍結予防の安全装置が自動で働くため、給湯機器の電源プラグは抜かないよう注意しています。待機電力を減らすつもりで抜いて、配管が凍って壊れては元も子もありません。
ブレーカーを落とせば待機電力はゼロになりますが、家全体のブレーカーを落とすと、冷蔵庫や給湯器の凍結予防、ルーター、防犯カメラまで止まってしまいます。月589円の待機電力のすべてが減るとしても、5日間の留守で約100円です。落とすなら、使っていない部屋の回路の配線用ブレーカーだけにとどめるのが安全です。
留守中にかかる電気代は、冷蔵庫と待機電力が中心です。資源エネルギー庁の冬の資料では、冷蔵庫は冬の1日の電気使用量の14.9%を占めています。数日の旅行なら、照明やエアコンの消し忘れがないかを確かめるほうが、コンセントを抜くより効果が大きくなります。
資源エネルギー庁によると、冬の1日の家庭の電気は、暖房が32.7%、冷蔵庫が14.9%、給湯が12.6%、照明が9.2%に使われています。当サイトで、家計調査の4人世帯の冬の請求(1〜3月払いの5年平均・月16,016円)をこの割合で分けると、暖房が約5,237円、冷蔵庫が約2,386円、給湯が約2,018円、照明が約1,473円、待機電力が約881円でした。
暖房の中では、エアコンが17.0%(約2,723円)、電気ストーブが3.8%(約609円)、こたつが2.1%(約336円)、電気カーペットが1.8%(約288円)です。一人暮らしの冬の請求(月8,035円)で同じように分けると、暖房は約2,627円、待機電力は約442円になります。冬の電気代を下げるなら、まず暖房、次に冷蔵庫と給湯で、コンセントを抜くのはその後と考えるのが効率的です。
| 家電 | どうするのがよい? |
|---|---|
| LED照明 | 使わないときは消す。9WのLEDなら1時間約0.28円で、つけたり消したりで寿命が大きく縮むことは少ない |
| 蛍光灯 | 数分で戻るなら、つけたままのほうが得なこともある。1日20〜30回の点滅を毎日続けると寿命がとても短くなる(パナソニック) |
| エアコンの暖房 | 外出や寝る15〜30分前に切る(資源エネルギー庁)。短い外出の切り替えは、部屋が冷えきるかどうかで判断 |
| テレビ | 見ていないときは消す。省エネモードで画面の明るさを下げる(資源エネルギー庁) |
LED照明は、つけている時間に応じて電気代がかかります。パナソニックは、人感センサー付きのLED電球について、電源の入り切りの頻度が寿命に大きく影響することはないと案内しています。LEDは、使わないときは消すのが基本です。
一方、蛍光灯は、つけるときにランプに負担がかかります。パナソニックによると、1日数回の点滅ならほとんど影響はありませんが、1日20〜30回の点滅を毎日くり返すと寿命がとても短くなり、数分以内に戻るならつけたままのほうが安くつく場合もあります。エアコンの暖房は、資源エネルギー庁が「外出・就寝時の15〜30分前に暖房をオフする」ことをすすめています。
| 取り組み | 削減率 | 1か月の目安 |
|---|---|---|
| 不要な照明をすべて消す | 4.5% | 約721円 |
| 室温を22℃から20℃に(エアコン) | 2.7% | 約432円 |
| 部屋の明るさを下げる | 1.5% | 約240円 |
| 冷蔵庫を「強」から「中」に、詰め込みすぎない | 1.5% | 約240円 |
| テレビを省エネモードに、見ないときは消す | 1.0% | 約160円 |
| こたつの使用時間を半分に | 1.0% | 約160円 |
| エアコンのフィルター掃除 | 0.8% | 約128円 |
| 温水便座のオフ機能・使わないときはプラグを抜く | 0.2% | 約32円 |
資源エネルギー庁の省エネ効果を4人世帯の冬の請求に当てはめると、不要な照明をすべて消すだけで月約721円、エアコンの室温を22℃から20℃に下げると月約432円の目安です。コンセントを抜く取り組みの代表である温水便座は月約32円で、効果は小さめでした。
まずは照明と暖房を見直し、その上で、使っていない家電のプラグを抜いたり、スイッチ付きの電源タップでまとめて切ったりすると、手間に見合った効果が得られます。暖房器具ごとの1時間の電気代は電気代が安い暖房器具は?で比べています。
A. 取扱説明書やカタログの「待機時消費電力」で確かめられます。時計の表示やリモコンの受信、ネットへの接続を続ける家電は、待機電力がかかりやすくなります。
A. LEDは使った時間だけ電気代がかかるので、使わないときは消したほうが安くなります。9WのLEDなら1時間約0.28円です。
A. 資源エネルギー庁の資料では、冬の1日の電気は暖房(32.7%)、冷蔵庫(14.9%)、給湯(12.6%)の順に多く使われています。4人世帯の冬の請求で、暖房は約5,237円にあたります。
A. テレビまわりやパソコンまわりの家電をまとめて切れるので、待機電力を減らす手間が少なくなります。ただし、録画機やルーターなど切ると困る家電は、別のコンセントにつないでおきましょう。
世帯人数別の電気代は電気代の平均(2人・3人・4人家族)、8都市の電気代の毎月の動きは光熱費ウォッチで確かめられます。
この記事の情報は2026年10月4日時点のものです。主な出典: 資源エネルギー庁「冬季の省エネメニュー ご家庭の皆様」(2025年度冬)・「平成24年度 待機時消費電力調査」、総務省統計局「家計調査」、東京電力エナジーパートナー「電気料金単価表(低圧)」、全国家庭電気製品公正取引協議会「新電力料金目安単価」、パナソニックのよくある質問、ノーリツ「寒波・凍結・積雪の場合」、製品評価技術基盤機構(NITE)。電気料金の先行きを予想したり、特定の製品をすすめたりするものではありません。