2026年秋に新米が古米より安くなったのは、前の年の2025年産が記録的な高値で仕入れられ、その在庫が多く残っている一方で、2026年産は量に余裕があり安く集められたためです。お店は高く仕入れたお米を大きく値下げしにくく、後から安く入った新米の方が安く並ぶ「逆転」が起きました。この記事では、当サイトのお米価格ウォッチで集計している取引価格と農林水産省の資料から、その理由を数字で確かめます。
| 2025年産(古米) | 2026年産(新米) | |
|---|---|---|
| 集めたときの状況 | 前の年からの品薄で、産地の集荷の競争が激しかった | 作付けが多く、民間の在庫もたっぷりある |
| 取引価格(玄米60kg) | 出始め36,895円(2025年9月) | 2026年9月分は公表待ち |
| JAの概算金(新潟一般コシヒカリ) | 当初30,000円 | 18,500円(38%低い) |
| 店頭での動き | 高い仕入れ値のため、大きく値下げしにくい | 安い仕入れ値で、安く並べられる |
お米の値段は、ふつうは収穫したての新米が高く、前の年のお米(古米)は安くなります。2026年に逆になったのは、お米を仕入れた時期の相場がまったく違うからです。2025年産は、2024年からの品薄の中で集められ、取引価格は2025年9月に玄米60kgで36,895円と、当サイトが集計を始めた2020年以降で最も高い水準から始まりました。
2026年産は反対に、作付けが多く在庫もあふれる中で集められています。新潟県の一般コシヒカリでは、JAが農家に前払いする概算金が18,500円と、2025年産の当初より38%低くなりました。高く仕入れた古米は損を出さないと値下げできず、安く仕入れた新米はそのまま安く売れるため、売り場で値段が逆転します。
逆転の幅はお店や銘柄でさまざまです。FNNプライムオンライン(2026年9月14日配信)は、新潟県長岡市の米穀店で、こしいぶきの2026年産が5kg 3,000円、2025年産が3,500円と、新米の方が500円安い例を伝えています。お店の人は、古米より新米を売りたいと話していたと報じられています。
日テレNEWS「【コメ価格】「安くてびっくり…」新米の方が安い“逆転現象” 理由のひとつに“コメ余り” 赤字農家が増えれば「またコメ騒動起きるのでは」と懸念も」(2026年8月公開)。新米の方が古米より安い「逆転現象」と、その理由の一つとされるコメ余りを伝えるニュースです。
当サイトでは、集荷業者と卸売業者の取引価格(相対取引価格)を2020年9月から毎月集計しています。お米は9月から翌年8月までを1つの「年産」として売られるので、年産ごとに12か月の平均を出しました。2025年産の平均は玄米60kgあたり34,362円で、2024年産(25,825円)より33.1%高く、6つの年産で最も高い値段です。2020〜2022年産は1万2千〜1万4千円台でした。
2025年産は2025年9月の36,895円から、2026年8月には31,556円まで下がりました。それでも、新潟の一般コシヒカリの2026年産の概算金(18,500円)とは大きな差があります。概算金は取引価格より前の段階の金額で単純には比べられませんが、新米は古米よりずっと低い値段から流通が始まったことが分かります。精米5kgに直した目安では、2025年産の出始めは約3,420円、2026年8月の取引価格は約2,920円です。
| 値段の種類 | 前の年との比較 | 中身 |
|---|---|---|
| 概算金(JA→農家) | 約4割安 | 新潟の一般コシヒカリ 30,000円→18,500円(−38%) |
| スーパーの平均(5kg) | 約3割安 | 2026年9月21〜27日の週 2,926円(1年前より−30.5%)。新米と古米の合計の平均 |
| 民間在庫(7月末) | +70万トン | 162万玄米トン(出荷段階117万トン・販売段階45万トン) |
ニュースで見る「新米4割安」は、多くの場合、JAが農家に前払いする概算金の話です。新潟の一般コシヒカリは前の年の当初より38%低く、約4割安になりました。店頭の値段がそのまま4割下がったわけではありません。スーパーのお米5kgの平均は、1年前より約3割安(−30.5%)です。
値段が下がった背景には、在庫の多さがあります。農林水産省によると、2026年7月末の民間在庫は162万玄米トンで、前の年の同じ時期より70万トン多くなりました。新米が出回る前から古米がたっぷりある状態で、2026年産の作付けも多く見込まれています。
逆転がいつ終わるかは、古米の在庫がどれだけ早く減るか、国が放出した備蓄米を買い戻すかどうかなどで変わり、当サイトでは予想しません。お店が古米の値段を下げていけば、逆転の幅は小さくなっていきます。スーパーの値段は毎週、取引価格は毎月の公表で確かめられます。最新の相場は新米5kgの値段はスーパーでいくら?でまとめています。
| くらべること | 新米(2026年産) | 古米(2025年産) |
|---|---|---|
| 値段(2026年秋) | 安いことが多い | 高いことが多い(値下げ品もある) |
| 味・食感 | 水分が多く、香りがよい | 水分が少なめで、粒がしっかり |
| 炊くとき | 水をやや少なめに | 表示どおりか、やや多めに |
| 向いている料理 | 白いご飯 | チャーハン・カレー・すし飯など |
値段を重視するなら、2026年秋は新米を選ぶ方が得なことが多い状況です。袋の「産年」の表示で2026年産かどうかを確かめ、1kgあたりの値段で比べましょう。新米は水分が多いので、炊くときは水をやや少なめにするとべたつきにくくなります。
古米が悪いわけではありません。水分が少なめでパラッと仕上がるので、チャーハンやカレーに向いています。古米が値下げされていれば、料理に合わせて選ぶのも一つの方法です。どちらも、精米年月日が新しいものを選び、涼しい場所で保存して早めに食べきるのがおすすめです。
新米が安く買える店は、地域や週によって変わります。当サイトでは特定の店を比べた結果は持っていないので、1kgあたりの値段と産年の2つを見て、近くの店どうしで比べるのが確実です。8都市の店頭価格の違いは新米の相場の記事で見られます。
「新米を売っていない」と感じるのは、9月はまだ早く収穫できる産地のお米が中心で、品種や産地によって店頭に並ぶ時期がずれるためです。古米の在庫を多く抱えるお店では、売り場に並ぶ新米が少ないこともあります。食品表示のルールでは、「新米」と表示できるのは、原則として収穫した年の12月31日までに精米・包装されたお米です。
A. 一般に、新米が出回ると前の年に収穫されたお米を古米と呼びます。2026年秋なら、2025年産のお米が古米です。法律で決まった呼び方ではありません。
A. 当サイトの取引価格の集計は2020年9月からで、それより前の逆転の有無は確かめていません。集計した6つの年産では、2025年産ほど高い値段で始まった年産はなく、その高値の年産のすぐ後に量の多い年産が来たことが、2026年の逆転の大きな理由です。
A. 概算金が大きく下がったことで、肥料や資材の値上がりと合わせて、農家の収入が減る心配が報じられています。お米の値段は、生産者と消費者の両方の事情で決まります。
A. 新米は水分を多く含むので、炊飯器の目盛りより少し少なめにするのが一般的です。お米の袋や炊飯器の説明書の目安も確かめてください。
お米の取引価格の毎月の動きはお米価格ウォッチ、8都市の店頭価格は食品の値段で確かめられます。
この記事の情報は2026年10月6日時点のものです。主な出典: 農林水産省「米の相対取引価格・数量」・「スーパーでの販売数量・価格の推移」(2026年10月2日公表)・民間在庫の公表(2026年8月28日)、共同通信・FNNプライムオンラインの報道、消費者庁「食品表示基準」。お米の価格の予想や、特定の商品・店舗での購入をすすめるものではありません。