値上げがいつ終わるかは、誰にも言い切れません。ただ、日本銀行は2027年度も物価が2%台で上がる見通しを示し、帝国データバンクも2027年にかけて断続的な値上げが続くと予想しています。総務省の消費者物価指数を当サイトで集計すると、物価は2021年9月から60か月連続で前の年の同じ月を上回っていました。この記事では、値上げがいつから始まり、なぜ止まらないのかを、物価の統計と値上げ品目数で整理します(物価の毎月の動きは物価ウォッチで見られます)。
| 出どころ | 見方 |
|---|---|
| 日本銀行 (2026年7月31日) | 消費者物価(生鮮食品を除く)の上昇率の見通し(政策委員の中央値)は、2026年度+2.5%、2027年度+2.4%、2028年度+2.0% |
| 帝国データバンク (2026年9月30日) | 外部環境の影響を受けやすい状況が続き、2027年にかけても断続的な値上げが続くと予想。2026年の飲食料品の値上げは2万品目を超え、前年並み |
| 足元の物価 (2026年8月分) | 消費者物価(総合)は前年同月比+1.9%。上がり方は2023年1月(+4.3%)の半分以下に鈍ったが、上昇は続いている |
日本銀行は、物価の上昇率(生鮮食品を除く)が2026年度は+2.5%、2027年度は+2.4%、2028年度は+2.0%になるという見通しを示しています。物価が下がるのではなく、上がるペースがゆるやかになっていくという見方です。つまり、日銀の見通しのとおりに進んだとしても、モノやサービスの値段そのものが元に戻るわけではありません。
食品の値上げを毎月調べている帝国データバンクも、2027年にかけて断続的な値上げが続くと予想しています。見通しは、原油の値段や為替などで変わります。この記事では予想はせず、これまでの値上げの流れを数字で確かめていきます。
| 年 | 値上げされた品目数 | 主なできごと |
|---|---|---|
| 2022年 | 25,768品目 | ロシアのウクライナ侵攻・円安で値上げラッシュ |
| 2023年 | 32,396品目 | 過去最多。食料の物価は9月に前年比+9.0% |
| 2024年 | 12,520品目 | ペースが落ちる |
| 2025年 | 20,609品目 | 2年ぶりに2万品目超え |
| 2026年 | 20,187品目 (9月30日時点の判明分) | 中東情勢で原油高。10月は3,153品目 |
2026年まで続く値上げの流れは、2021年秋から2022年にかけて始まりました。消費者物価(総合)は2021年9月に前の年を上回り始め、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻のあと、エネルギーや穀物の値段が上がり、円安も重なって食品の値上げが一気に広がりました。帝国データバンクの集計では、2022年に25,768品目、2023年には過去最多の32,396品目が値上げされています。
2024年は12,520品目にペースが落ちたものの、2025年は20,609品目に増えました。2026年は9月30日時点で判明した分だけで20,187品目と、2年続けて2万品目を超えています。10月の3,153品目は、9月に続いて2か月連続の3,000品目超えでした。
消費者物価(総合)の前年同月比は、2021年9月にプラスに転じてから、2026年8月まで60か月連続でプラスでした。5年間、物価が前の年の同じ月を下回った月は一度もありません。食料はとくに上がり方が大きく、2023年9月には前年比+9.0%に達しました。
物価の基調を見る「生鮮食品を除く総合」でも、前年比+2%以上の月が2022年4月から2025年12月まで45か月続きました。1971年以降で2%以上が12か月以上続いたのは、1970年代〜1983年の物価高(148か月)、1984〜1985年(15か月)、バブル期の1989〜1992年(45か月)、消費税が8%に上がった2014〜2015年(12か月)、そして2022年からの今回の5回だけです。今回は、バブル期と同じ長さでした。
| 分類 | 5年間の上昇率 | 5年前に1万円で買えた物は |
|---|---|---|
| 総合(物価全体) | +14.7% | 約11,470円 |
| 食料 | +30.7% | 約13,070円 |
| エネルギー | +13.3% | 約11,330円 |
5年前の2021年8月と比べると、物価全体は14.7%、食料は30.7%上がっています。2021年8月に1万円で買えた食べ物は、2026年8月には約13,070円かかる計算です。上がり方が鈍ったといっても、値段そのものは高いところから、さらに少しずつ上がり続けています。
当サイトの値上がり品目ランキング(2025年基準の583品目)では、2026年8月に前年より値段が上がった品目は429品目で、全体の73.6%でした。2016年7月〜2020年12月の平均(58.6%)より多く、2023年9月の86.7%をピークに、7割前後の品目で値上がりが続いています。
| 理由 | 割合 |
|---|---|
| 原材料の値上がり | 91.3% |
| エネルギー(電気・ガス・燃料) | 63.8% |
| 中東情勢 | 27.8% |
| 円安 | 8.1% |
帝国データバンクの調査では、2026年の飲食料品の値上げの理由は、原材料の値上がりが91.3%で最も多く、エネルギーが63.8%、中東情勢が27.8%でした。小麦・油・カカオ・コーヒー豆などの原材料の値段に、工場や輸送で使う電気・燃料の値段が重なり、商品の値段に上乗せされています。
内閣府の資料によると、2026年2月末から中東情勢が緊迫し、日本が輸入する原油の指標であるドバイ原油は、2月27日の1バレル70.7ドルから、3月19日には169.8ドルまで上がりました。3月の月平均は126.8ドルで、2月より86%高く、月平均の上がり方としては2000年以降で最大でした。日本の原油の輸入額の94%は中東産です(2025年)。その後は値下がりしましたが、原油の値上がりは、時間をおいて電気・ガス・ガソリン、包装材、輸送費を通じて、いろいろな商品の値段に広がっていきます。
日テレNEWS「【10月値上げ】中東情勢や円安で 飲食料品は3000品目以上に」(2026年9月公開)。中東情勢や円安を背景に、2026年10月に飲食料品が3,000品目以上値上げされることを伝えるニュースです。
値上げが続くのは、商品をつくって届けるまでのコストが何重にも上がっているからです。①海外から買う原材料や原油が高くなる(円安だとさらに高くなる)、②工場の電気代や運ぶ燃料代、トラックの運転手などの人件費も上がる、③それを商品の値段に少しずつ上乗せする、という流れです。原材料が下がっても、人件費や物流費は下がりにくいため、値段は元に戻りにくくなっています。
2022〜2023年は、企業が一気に価格を上げた時期でした。2025〜2026年は、コストの上昇に合わせて小刻みに値上げを重ねる形に変わっています。帝国データバンクの品目数が、2023年より少なくても毎年2万品目前後で続いているのは、そのためと考えられます。
値上げは一品一品は数%でも、積み重なると家計に響きます。まずは、どの費目がどれだけ増えたかを数字でつかむことが出発点です。二人以上の世帯の平均的な支出は、当サイトの家計簿の平均で費目ごとに見られます。
食費の中では、野菜や果物のように季節や天候で上下する品目と、加工食品のように一度上がると下がりにくい品目があります。旬の野菜や、値上げの少ない品目に切り替えるのも一つの方法です。どの品目がどれだけ上がったかは値上がり品目ランキングで確かめられます。
A. 上昇率は「1年前と比べてどれだけ上がったか」です。上昇率が4%から2%に下がっても、値段は上がり続けていて、下がったわけではありません。値段そのものが下がるのは、前年比がマイナスになったときです。
A. 帝国データバンクの集計では、2026年は9月30日時点で20,187品目でした。過去最多の2023年(32,396品目)より少なく、2025年(20,609品目)と同じくらいです。
A. 円安は原材料や原油を高くする理由の一つですが、2026年の値上げの理由で円安を挙げた品目は8.1%でした。原材料そのものの値上がりや、エネルギー・人件費・物流費の上昇もあるため、円安だけで決まるわけではありません。
A. 消費者物価は2021年9月から前年を上回り始め、2022年に食品の値上げが一気に広がりました。帝国データバンクの集計では、2022年の飲食料品の値上げは25,768品目でした。
A. 物価と給料の関係は、最低賃金データベースや当サイトの物価のデータで確かめられます。
物価の毎月の動きは物価ウォッチ、品目ごとの値上がりは値上がり品目ランキング、5年間の品目別の変化は物価576品目の5年の値上がりで確かめられます。
この記事の情報は2026年10月5日時点のものです。主な出典: 総務省統計局「消費者物価指数」(2025年基準・全国、e-Stat)、日本銀行「経済・物価情勢の展望(2026年7月)」、帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査」(2026年10月ほか)、内閣府「今週の指標 No.1415 国際的な原油価格指標の動向について」(2026年6月5日)。値上がり品目の割合は当サイト「値上がり品目ランキング」(2025年基準・過去の月も2025年基準の品目で数えた値)。物価や値上げの先行きを予想したり、特定の買い物をすすめたりするものではありません。