2026年8月に、2026年度の最低賃金の答申が出そろいました。「東京は高くて地方は安い」とよく言われますが、その差は実際にどれくらいでしょうか。当サイトの最低賃金データベースは、厚生労働省の公表値から47都道府県の最低賃金を2002年度から収録しています。2026年度の答申額で47都道府県を並べてみました。
2026年度の最低賃金は、全国の加重平均(働く人の数で重みをつけた平均)で1,177円でした。2025年度の1,121円から+56円です。上げ幅は2025年度の+66円に次いで、2002年度以降で2番目の大きさでした。
いちばん高いのは東京都の1,280円、いちばん低いのは宮崎県の1,085円です。その差は195円で、東京都は宮崎県の1.18倍でした。1,100円以上の都道府県は29に増え、2025年度の8から大きく広がっています。
| 都道府県 | 2026年度の時給 | 2025年度からの上げ幅 | 月給の目安(月173時間) | 発効予定日 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 1,280円 | +54円 | 221,440円 | 10月1日 |
| 神奈川県 | 1,279円 | +54円 | 221,267円 | 10月1日 |
| 大阪府 | 1,231円 | +54円 | 212,963円 | 10月1日 |
| (全国の加重平均) | 1,177円 | +56円 | 203,621円 | — |
| 長崎県 | 1,087円 | +56円 | 188,051円 | 11月2日 |
| 沖縄県 | 1,086円 | +63円 | 187,878円 | 12月2日 |
| 高知県 | 1,086円 | +63円 | 187,878円 | 10月29日 |
| 宮崎県 | 1,085円 | +62円 | 187,705円 | 10月24日 |
生活の言葉に直してみます。時給の差195円は、1日8時間働くと1,560円の差です。月173時間なら33,735円、1年では約40万円の差になります。東京都の月給の目安は221,440円、宮崎県は187,705円でした。
全国の加重平均の+56円も、月173時間に直すと+9,688円です。最低賃金で働く人の月給の目安は、193,933円から203,621円になりました。
「地方との差は広がる一方」という印象がありますが、数字は少し違いました。最高額と最低額の差は、2002年度には104円でした。それが2018年度に224円まで広がり、そこが最大です。
その後は2024年度に212円、2025年度に203円、2026年度に195円と3年連続で縮小しています。195円という差は、2011年度の192円以来の小ささでした。東京都を宮崎県で割った倍率も1.18倍で、2007年度の1.20倍以来の小ささです。
| 2025年度の時給 | 都道府県の数 | 平均の上げ幅 | 平均の上げ率 |
|---|---|---|---|
| 1,100円以上(東京・神奈川・大阪など) | 8 | +55.1円 | +4.8% |
| 1,050〜1,099円 | 17 | +57.4円 | +5.4% |
| 1,050円未満(宮崎・沖縄・高知など) | 22 | +59.8円 | +5.8% |
| (47都道府県の平均) | 47 | +58.1円 | +5.4% |
差が縮まった理由は、上げ幅の違いにあります。2025年度に1,050円未満だった22県の上げ幅は平均+59.8円でした。1,100円以上だった8都府県は平均+55.1円です。低い県ほど大きく上げる形になっていました。
上げ幅がいちばん大きかったのは佐賀県の+65円(+6.3%)で、鹿児島県+64円、高知県と沖縄県+63円が続きます。東京都・神奈川県・大阪府の+54円(+4.4〜4.6%)が、47都道府県でいちばん小さい上げ幅でした。
最低賃金は「10月1日から新しい額になる」と思われがちですが、都道府県ごとに発効日が違います。2026年度に10月1日から適用されるのは、東京都・神奈川県・大阪府など15都道府県だけでした。10月中に発効するのは37都道府県です。
11月に発効するのは大分県・京都府など7府県、12月に発効するのは岩手県・熊本県・沖縄県の3県でした。いちばん遅い沖縄県の12月2日は、10月1日から数えて62日後です。
| 発効予定日 | 府県 | 2026年度の時給 | 上げ幅 |
|---|---|---|---|
| 11月1日 | 山梨県 | 1,113円 | +61円 |
| 11月1日 | 徳島県 | 1,103円 | +57円 |
| 11月1日 | 大分県 | 1,096円 | +61円 |
| 11月1日 | 愛媛県 | 1,093円 | +60円 |
| 11月2日 | 長崎県 | 1,087円 | +56円 |
| 11月15日 | 佐賀県 | 1,095円 | +65円 |
| 11月16日 | 京都府 | 1,180円 | +58円 |
| 12月1日 | 岩手県 | 1,090円 | +59円 |
| 12月1日 | 熊本県 | 1,092円 | +58円 |
| 12月2日 | 沖縄県 | 1,086円 | +63円 |
発効日の違いは、受け取る額にも表れます。沖縄県の上げ幅+63円は、1日8時間で504円です。月173時間では10,899円で、10月と11月の2か月分をまとめると約2.2万円にあたります。同じ「2026年度の引き上げ」でも、東京都で働く人と沖縄県で働く人では、新しい時給を受け取り始める時期が2か月ずれていました。
ちなみに、全国の加重平均は2002年度の663円から2026年度の1,177円へ、24年で1.78倍になりました。2016年度の823円と比べると+354円(+43.0%)です。上げ幅は2016年度から2020年度(+1円)を除いて毎年20円以上で、2023年度からは40円以上が続いています。
この記事は厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金答申状況」(2026年8月)と「地域別最低賃金の全国一覧」の公表値を、当サイトが2026年9月8日に取得して集計したものです。2026年度の額と発効日は答申の段階のもので、各都道府県の労働局の官報公示を経て確定します。月給の目安は時給に月173時間をかけた計算上の数字で、実際の給与は労働時間・手当・残業で変わります。全国の加重平均は厚生労働省の公表値です。将来の最低賃金を予想するものではなく、就職や転居をすすめるものでもありません。集計時点は2026年9月8日です。