「まだ8月なのに、周りでインフルエンザが出はじめた」。2026年の夏、そんな話を聞いた方がいるかもしれません。当サイトのインフルエンザウォッチは、国立健康危機管理研究機構の週報を2016年までさかのぼって収録しています。11年分・約570週の記録を並べると、2026年8月の数字は、たしかにふだんの8月とは違っていました。
この記事の「患者数」は、全国で決められた医療機関(定点)から報告された1週間のインフルエンザ患者数を、1医療機関あたりに直した数(定点当たり報告数)です。10人を超えると注意報、30人を超えると警報の目安になります。
2026年8月17〜23日(第34週)に全国で報告されたインフルエンザの患者数は、1医療機関あたり1.11人でした。全国の報告をあわせると、1週間で4,094人です。
同じ第34週を2016年から2026年まで11年分並べると、2026年より多かったのは2023年の1.40人だけでした。2026年は11年で2番目です。3番目の2025年は0.31人、4番目の2024年は0.29人でしたから、2026年は1年前の3.6倍にあたります。
過去10年(2016〜2025年)の同じ週の平均は0.27人です。2026年はその約4倍でした。ただしこの平均には、感染対策でほとんど報告がなかった2020年と2021年が含まれています。この2年を除いた8年の平均でも0.31人で、2026年は約3.6倍です。
| 週 | 期間 | 2026年 | 2025年の同じ週 | 過去10年平均 |
|---|---|---|---|---|
| 第30週 | 7月20〜26日 | 0.24人 | 0.32人 | 0.28人 |
| 第31週 | 7月27日〜8月2日 | 0.37人 | 0.30人 | 0.26人 |
| 第32週 | 8月3〜9日 | 0.52人 | 0.30人 | 0.25人 |
| 第33週 | 8月10〜16日 | 0.69人 | 0.28人 | 0.20人 |
| 第34週 | 8月17〜23日 | 1.11人 | 0.31人 | 0.27人 |
2026年の数字を週ごとに追うと、7月20〜26日は0.24人で、過去10年平均とほとんど同じでした。そこから4週続けて増え、8月17〜23日には1.11人に。4週間で4.6倍です。直前の週(0.69人)からの1週間だけでも1.6倍に増えました。
1年前の2025年は、同じ4週間が0.32人、0.30人、0.30人、0.28人、0.31人と横ばいでした。2025年に1医療機関あたり1人を超えたのは9月下旬(第39週)で、2026年はそれより5週早い計算です。
2016年以降の11年で、7月以降に1人を超えた週が2026年より早かったのは、夏の間ずっと1人を超えていた2023年だけでした。ほかの年は10月下旬(2024年・第44週)や11月中旬(2016年・第46週)で、2019年の9月中旬(第37週)でも2026年より3週遅い時期です。
なお、8月から多かった2023年は、その後10月中旬(第41週)に注意報の目安10人を超え、12月上旬(第49週)に33.72人まで増えました。これは過去の記録で、2026年がどうなるかを示すものではありません。
全国を1.11人と書きましたが、都道府県ごとの差は大きいものでした。2026年8月17〜23日にいちばん多かったのは沖縄の4.43人で、全国の4倍。いちばん少ない島根の0.25人と比べると17.7倍の差です。
2位は岩手の2.10人、3位は青森の2.08人でした。4位以下には神奈川1.99人、埼玉1.83人、千葉1.80人、茨城1.76人と、関東の県が並んでいます。東京は1.49人で10位でした。
47都道府県のうち、全国の1.11人を上回ったのは14県です。1人を超えたのは16県、逆に0.5人に届かなかった県は9県ありました。47県のまん中の値は0.81人ですから、少数の県が全国の数字を引き上げていた形です。
生活の言葉に置きかえると、沖縄の4.43人は「かかりつけの1つの医院に、1週間で4〜5人のインフルエンザの患者さんが来た」という水準です。島根の0.25人は「4つの医院をあわせて1週間に1人」にあたります。同じ8月でも、住んでいる地域で実感は大きく違っていたはずです。
この記事は国立健康危機管理研究機構「感染症発生動向調査週報(IDWR)速報データ」の公表値を、当サイトが2026年9月5日に取得して集計したものです(2026年第34週=8月17〜23日分まで)。速報値はのちに修正されることがあります。この記事は公表データの転載と集計であり、流行の予想や医療上の助言ではありません。体調に不安があるときは医療機関にご相談ください。