「晴れた日の昼は、太陽光の電気が余っている」と聞いたことはないでしょうか。電気はためておくのが難しいので、使う量より多く作れそうな時間は、電力会社が太陽光の発電所に発電を止めてもらいます。この仕組みを「出力制御」といいます。当サイトの太陽光比率ウォッチは、各電力会社の需給実績から、この止めた量も毎日集計しています。太陽光の割合が特に高い九州エリア(九州電力送配電の管内)で、2026年にどれだけ止めたのかを数えました。
九州エリアで太陽光の発電を余って止めた量は、2026年1月1日〜9月11日の合計で12.1億kWhでした。2025年の同じ期間は8.5億kWhで、1.4倍です。
2025年の1年分は9.3億kWhでした。2026年は9月11日の時点で、それを2.8億kWh上回っています。2024年(記録がある4月1日〜12月31日)の4.4億kWhと比べると、2年で3倍近くになりました。
家庭の電気に直してみます。1世帯が1か月に300kWh使うとすると(1年で3,600kWh)、12.1億kWhは約34万世帯の1年分です。九州エリア全体が使う電気に直すと、約5日分にあたります。
別の見方もあります。止めた分と実際に発電した分を足すと、2026年に九州の太陽光が「作れた電気」になります。そのうち10.4%が止めた分でした。2025年の同じ期間は7.3%です。作れた太陽光の10本に1本を使わずに止めた計算です。
| 月 | 出力制御(2026年) | 出力制御(2025年) | 太陽光の割合(2026年) | 昼のピークの最大シェア |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | 0.2億kWh | 0.5億kWh | 13.8% | 76.1% |
| 2月 | 0.8億kWh | 0.3億kWh | 15.4% | 79.0% |
| 3月 | 2.1億kWh | 2.1億kWh | 18.7% | 79.5% |
| 4月 | 2.4億kWh | 2.8億kWh | 15.4% | 72.0% |
| 5月 | 5.5億kWh | 2.1億kWh | 20.3% | 73.9% |
| 6月 | 1.0億kWh | 0.6億kWh | 14.6% | 67.4% |
| 7月 | 0 | 0.04億kWh | 18.7% | 67.0% |
| 8月 | 0 | 0 | 19.9% | 74.6% |
| 9月(11日まで) | 0.03億kWh | 0.01億kWh | 12.9% | 52.4% |
月別に見ると、2026年の出力制御は3〜5月の3か月に10.0億kWhが集中していました。1月1日〜9月11日の合計の83%です。5月だけで5.5億kWhと、全体の45.7%を占めます。
2025年の5月は2.1億kWhでした。2026年の5月はその2.7倍です。2025年と比べて増えた分の大半は、この5月で説明がつきます。
なぜ春に余るのでしょうか。春は晴れて昼が長いのに、冷房も暖房もあまり使わず、昼に使う電気が少ないためです。2026年3月4日には、昼のピークで九州の電気の79.5%が太陽光でした。逆に7月と8月はゼロでした。冷房で昼の電気をたくさん使うので、太陽光を使い切れているためです。
| エリア | 出力制御(2026年) | 出力制御(2025年の同じ期間) | 太陽光の割合(2026年) | 集計の最終日 |
|---|---|---|---|---|
| 九州 | 12.1億kWh | 8.5億kWh | 17.0% | 9月11日 |
| 東北 | 4.8億kWh | 3.9億kWh | 15.4% | 7月31日 |
| 東京 | 2.4億kWh | 0 | 9.7% | 9月11日 |
| 関西 | 1.7億kWh | 1.0億kWh | 7.2% | 9月11日 |
| 中国 | 1.3億kWh | 1.2億kWh | 17.6% | 9月11日 |
| 北海道 | 0.6億kWh | 0.07億kWh | 12.2% | 9月6日 |
| 中部 | 0.5億kWh | 0.4億kWh | 13.5% | 9月11日 |
| 沖縄 | 0.01億kWh | 0.01億kWh | 6.2% | 9月11日 |
| 8エリア合計 | 23.4億kWh | 14.9億kWh | — | — |
8つの電力エリアで2026年に止めた太陽光は、合計23.4億kWhでした。九州が12.1億kWhで半分(51.6%)を占めます。2番目は東北の4.8億kWhで、これは2026年7月31日までの集計です。8エリア合計でも、2025年の同じ期間(14.9億kWh)の1.6倍でした。
東京エリアは2.4億kWhでした。8社の記録がそろう2024年4月以降で、東京エリアの出力制御は2026年が初めてです。2026年3月に始まり、5月だけで1.7億kWhでした。
ちなみに、使った電気のうち太陽光の割合(2026年1月1日〜9月11日)は、中国エリアが17.6%、九州が17.0%で高く、関西の7.2%、沖縄の6.2%が低い順でした。割合が高いエリアほど、昼に余りやすい傾向です。
本記事は情報提供を目的としたもので、電力需給や電気料金の予想、特定の商品・サービスの推奨ではありません。数値は北海道電力ネットワーク・東北電力ネットワーク・東京電力パワーグリッド・中部電力パワーグリッド・関西電力送配電・中国電力ネットワーク・九州電力送配電・沖縄電力の各社が公表する「エリア需給実績」(30分値・速報値で事後修正があります)を当サイトが集計したものです。出力制御量は各社の「太陽光出力制御量」の列を合計しました。1世帯の使用量(月300kWh)は換算のための目安です。集計時点は2026年9月12日(データは2026年9月11日分まで)。